北朝鮮にタイル不正輸出　名古屋の社長ら逮捕

　北朝鮮に陶磁製タイルなどを不正輸出したとして、京都府警と愛知、岐阜両県警などの合同捜査本部は４日、外為法違反（無承認輸出）の疑いで、名古屋市の貿易会社「ケージェイ」社長で朝鮮籍の成元弘明こと成光淳（せいこうじゅん）容疑者（６２）＝名古屋市北区＝ら五人を逮捕した。

　ほかに逮捕されたのは、岐阜県多治見市笠原町のタイル製造会社「大勝」社長の小沢勝容疑者（６８）ら。捜査本部は４日、成容疑者の会社や多治見市の会社など数カ所を捜索した。

　逮捕容疑は、経済産業相の承認を受けず、２００９年１２月に陶磁製タイルなどを、１０年５月にはコップや皿などの陶磁器製品約５万６千個を名古屋港から北朝鮮に不正輸出したとされる。捜査本部によると成容疑者は「中国に輸出しただけ」と否認している。日本政府は０９年以降、経済制裁で北朝鮮への輸出を全面禁止している。

　捜査本部によると、成容疑者が北朝鮮から注文を受けて、多治見市の会社などに発注。中国・大連経由で不正輸出を繰り返していたとみられる。成容疑者は輸出禁止措置の前から北朝鮮に物品を送っていたという。

　北朝鮮では、今月１５日の故金日成（キムイルソン）主席の生誕１００周年に合わせて市街地整備が進められている。捜査本部は不正輸出されたタイルがこうした事業の建築資材に流用されたとみて、不正輸出の動機や成容疑者らと北朝鮮当局の関係などを調べる。

　国内有数の陶磁製タイル産地・岐阜県多治見市笠原町では、北朝鮮への輸出に関連したとされるタイル製造会社と、廃業したタイル商社の倉庫に４日早朝から捜査員が捜索に入った。

　タイル製造会社からは午前１０時半ごろ、捜査員が段ボール１箱分の証拠品を押収した。

　会社と取引のあった陶器会社の経営者は「昔は地元でも大きいタイル商社だった。最近は廃業する商社から輸入タイルなどを安価に仕入れ、国外に販売していると聞いていた」と話した。

　成容疑者の貿易会社（名古屋市北区）にも、愛知県警などの捜査員１０人程度が訪れ、正午前に押収品の入った段ボール５、６箱を次々に車両に積み込んでいった。

（中日新聞）