電卓のメーカーによる仕様の違いについて、まとめてみました。 電卓の機能解説ページにもなりつつあります。 このページの内容は、いわゆる普通の電卓についてのことであり、加算機方式の電卓や関数電卓等には当てはまらない場合があります。 メモリー関係については、別のページ 電卓メモリー活用法 に分割していますので、こちらもご覧ください。 (ページ内リンク) 系列の違い 定数計算 リピート・べき乗・逆数計算 パーセント計算 複利計算 マークアップ(売価計算) 小数点・ラウンドセレクター 概数計算 キーの表記 計算状態表示 Windows 添付の電卓 |
電卓の仕様を大きく分けると以下の2つの系列になります。というか、カシオだけがちょっと変わった仕様になっているのですが。 シャープ系の仕様は、どのメーカーが考えたものか知りませんので、仮にシャープ系としています。
なお、昔の機種だと、機種によっては定数計算・パーセント計算が使えない場合があります。今の機種ならば100円ショップで買えるようなものでも、ほぼすべて大丈夫です。 Windows には電卓ソフトが添付されていますが、これはどちらの仕様とも少し異なるので、別項目に書きました。 |
カシオ系では、加減乗除すべてにおいて、演算記号の後の数字が定数となります。ただし、定数は演算記号の前に入力します。 また、定数モードにするために、演算記号は2回押す必要があります。(シンボル「K」表示が点灯) 例えば、100÷5,200÷5,400÷5 を計算したいとき、つまり後の数字「5」が定数の時は次のように操作します。
シャープ系では、掛け算のみ演算記号の前の数字が定数、それ以外では後の数字が定数となります。 カシオ系のように定数モードというものはありません。(自動です) カシオ系の例と同じ計算を行うには、次のように操作します。
定数にならない方を定数として計算したい場合(例えば、100÷2,100÷3,100÷4 を計算したいが、カシオ系・シャープ系ともに、後の数字が定数となるのでできない)、足し算・掛け算では式をひっくり返せばよいだけですが、引き算・割り算のときはメモリーを活用すればできます。 詳細は 電卓メモリー活用法 - 定数計算用として使う を参照してください。 |
定数計算の応用として、リピート・べき乗・逆数計算があります。 リピート計算は加減乗除算で使用できます。 例えば、シャープ系では、[+]a[=] として表示値にaを加算した後に、続けて[=]を押すと、押した回数だけaが加算されます。(aが定数に設定されている) これは買い物時の金額を計算するときに便利です。例えば、198円のものを3個買った場合で、表示値に198を3回加算(つまり 198×3 を加算)したいときは、[+]198[=][=][=] とします。メモリーを使って 198[×]3[M+] ともできますが、[RM]を押さないと合計値が表示されないので、リピート計算が使えます。 カシオ系でも、a[+][+][=] として、続けて[=]を押せばリピート加算できますが、aの入力時に表示値が失われてしまうので、表示値にリピート加算することはできずあまり意味がありません。 以上の例は加算についてですが、減乗除算も同様です。 乗除算での使い方の例として、べき乗・逆数計算があります。 べき乗計算は、aのb乗(ab)を計算できます。(bは正の整数) シャープ系では、a[×][=][=]... ([=]は (b-1) 回押す) と操作します。(aが定数に設定されている) 例えば、5の4乗を計算するには、5[×][=][=][=] と操作します。 カシオ系でも同様ですが、[×]は2回押す必要があります。ただし2乗の計算のみ、1回押しでもかまいません。 一連の操作を表にすると次のようになります。
逆数計算は、a分の1 (1/a)、および (aのb乗)分の1 (1/ab) を計算できます。(bは正の整数) シャープ系では、1/a の計算は a[÷][=] と操作します。これは 1[÷]a[=] と同じ意味になりますので、aが定数に設定されます。 続けて[=]を押すと、答えは 1÷a÷a、つまり 1/a2 となります。さらに[=]を押せば、1/a3, 1/a4, ... と計算できます。 カシオ系では、1/a の計算は a[÷][÷][=][=]、1/a2 以降はシャープ系と同様に[=]を続けて押します。 例えば、1/5, 1/52, 1/53 を計算するには次のようにします。
シャープ系で、べき乗・逆数計算と同様に、数値・加減算記号に続けて[=]を押す(a[+][=],a[−][=])と、「aが定数に設定され、前回の定数との定数計算が行われ、その結果が表示される」という動作をしますが、どのような場合に使えるかは思いつきません。 |
a[+]b[%] は、カシオ系ではマークアップ計算になります。(マークアップについては後述) シャープ系では「aのb%増し」の計算になります。300[+]5[%] は、300[×]105[%] と同じ意味です。 a[−]b[%] は、カシオ系では「aはbの何%アップか」という計算になります。(a[÷]b[%][−]100[=] と同じ意味) シャープ系では「aのb%引き」の計算になります。300[−]5[%] は、300[×]95[%] と同じ意味です。 a[×]b[%] は、どちらも同じです。「aのb%はいくらか」の計算になります。 ただし、この結果をaに加算(減算)したいとき(消費税額と税込金額を求めたい場合等)の操作が異なります。 シャープ系では a[×]b[%][+(−)][=] と操作しますが、カシオ系では最後の[=]が不要です。(ただし、「300×5%+200」のように後に加減算が続く場合は、[=]が必要) この操作の加減算後の表示は、シャープ系の a[+(−)]b[%] と同じ結果になりますが、カシオ系にはその機能がないため、少ないキー操作でできるようにしているのではないかと思われます。 a[÷]b[%] は、どちらも同じです。「aはbの何%か」の計算になります。 マークアップ機能のない機種のマークアップ計算にも使えます。(マークアップについては後述) パーセント計算についてまとめると次のようになります。
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定数計算のリピート計算と、パーセント計算を組み合わせることで、預金等の複利計算が可能です。 例えば、100万円を0.5%(税引後)の1年定期に預けたときの、1年ごとの満期額を計算します。 満期額は1年ごとに0.5%増えますので、100万円に (100+0.5)% を掛けていきます。 キー操作は次のようになります。
手持ちのシャープ系電卓のうち、シャープ・キヤノン・ジェントス・シチズン機で調べたところ、キヤノン機の一部のみ[%]のリピート計算が使えませんでした。 そのような機種では、[%]キーではなく[=]キーでリピート計算する必要があります。
パーセント計算の[×]ではなく、[+]を使って、1000000[+]0.5[%][%][%]... のようにできれば便利ですが、残念ながらそのようなことはできませんでした。 カシオ系では[+]がマークアップなので元々無理ですし、シャープ系で[%]を連打しても表示は変わらず空き機能になっているようです。 |
「マークアップ」とは、利益率を売価のb%と見た場合の、原価a円の商品の売価を求める計算のことをいいます。 それ以外でも、「売価198円・34%OFF の商品の定価は?」という場合に、198[+]34[%] (カシオ系の場合) で「300.」、つまり定価300円である、という場合にも使えます。 この機能の操作は、メーカーによって仕様が異なり、また同じメーカーであっても仕様が異なる場合があります。 カシオ系では仕様は1つしかありません。どの機種でも a[+]b[%] と操作します。 ただし、[MU](または[MARK UP])キーが付いている場合はシャープ系仕様の機種ですので、下記の方法で見分けてください。 シャープ系の機種は次の方法で仕様を見分けることができます。 一部の機種で、キー表記が[MU]ではなく [Δ%](デルタパーセント)・[粗利]・[GPM] 等となっているものがありますので、その場合は読み替えてください。 最近の機種で、[粗利率](または [粗利%])キーの他に、[原価]・[売価] キーも付いているものは、下記の操作ではなく、a[原価]b[粗利率] と操作します。 要するに 原価・売価・粗利率 のうち2つを入力すると残りの1つが計算されますので、原価・売価 から粗利率を求める、等も可能です。
パターンBとCの機種では、さらに続けて[MU]キーを押すと別の表示になるものがあります。
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大きめの電卓によく付いている「F 3 2 1 0 A」のようなスライドスイッチを「小数点セレクター」(または小数点指定スイッチ等)、また「F CUT UP 5/4」のようなスイッチを「ラウンドセレクター」(またはラウンドスイッチ等)といいます。 これらのスイッチにより、小数部の桁数設定・切り捨て/;M 一部の機種では、スライドスイッチでなく専用キー([TAB]等)、または他のキーと兼用となっているものもあります。その場合、設定状態は画面にシンボル表示されます。 通常2つのスイッチが付いており、各スイッチ名は以下のようになります。 スイッチが1つしかない機種もあります。カシオ系では小数点セレクターが[2]で固定、シャープ系ではラウンドセレクターが[5/4]で固定されていると考えてください。 小数点セレクターの数字は機種によって異なります。[↑],[UP] がない機種もあります。
セレクターがない機種と同じ通常状態にするには、カシオ系ではラウンドセレクターを[F](小数点セレクターは無関係)、シャープ系では小数点セレクターを[F](ラウンドセレクターは無関係)にします。 2[÷]3[=] のような割り切れない計算をすると、「0.66666…」と電卓の桁数いっぱいまで表示されます。 セレクターを使い、例えば小数第3位を四捨五入して第2位までの表示とするには、カシオ系・シャープ系共に小数点セレクターを[2],ラウンドセレクターを[5/4]にします。 2[÷]3[=] で「0.67」となります。 同様に、切り捨てはラウンドセレクターを カシオ系:[CUT]/シャープ系:[↓]、切り上げは カシオ系:[UP]/シャープ系:[↑] にします。 もう一つ、小数点セレクターの端にある [ADD2],[A],[+] はアドモード計算(アディングモード)指定です。 これは主に、ドル・セント,円・銭 等の補助通貨を含む計算に使用します。 例えば 12ドル34セント は通常、小数点キーを使い 12[.]34 と入力しますが、アドモード計算にすると小数点入力が省略でき自動で下2桁が小数部となります。(小数点を入力すると通常の数値として扱われます。) $12.34+$56+$7.8 の計算をするには、1234[+]5600[+]780[=] で「76.14」となります。(5600→56[.],780→7[.]8 と入力してもOK。) なお小数点省略が適用されるのは加減算のみです。1234[×]2[=] としたとき、下線部は乗算なので小数点省略は適用されず、12.34×2 で「24.68」となります。 |
計算結果が電卓の桁数を超えた場合は、上位桁のみを使用しておおまかな値を表示します。 例えば8桁の電卓で、99,999×99,999=9,999,800,001 の計算を行うと、「E 99.998000」の表示になります。この時の小数点表示は小数点位置を表すものではなく、一億の位を表すものです(つまり、99.998億=99億9980万)。十の位・一の位は表示できないので切り捨てられます。 10桁の電卓では百億の位、12桁では一兆の位になります。 シチズンのナチュフェイスシリーズでは、この概数が通常の小数と同様に扱われますので、上記の計算を行うと、通常の小数と同様に最後に連続するゼロは省略され「E 99.998」の表示になります。 それだけだとたいした問題ではないのですが、問題は小数部桁指定をONにしている場合です。例えば小数部桁数2で四捨五入の設定にしていると、上記の計算では「99.998」が四捨五入されてしまい「100.00」という異なる値になってしまいます。これは明らかにおかしな仕様だと思います…。 他の機種もいくつか調べてみましたが、このような仕様のものは見つかりませんでしたのでレアケースだと思いますが、概数計算を多用する方は購入前に確認した方がよいと思います。 |
キーの表記もメーカーによって少し異なります。次にメーカー別キー表記の一覧表を示します。 |
[+−×÷]キーを押したときに、そのマークを表示する機能です。 カシオ機では昔からほとんどの機種に付いていますが、カシオ以外ではまったく付いていなかったので、カシオが特許か何か持っているのかと思っていましたが、最近はカシオ以外でも付いている機種が増えてきたのでそうでもないようです。 |
Windows にはアクセサリとして電卓ソフトが添付されていますが、これの仕様がちょっと変わっているようです。以下はその詳細です。 電卓のヘルプには詳しいことが書かれていないようですので、独自に調べたものです(Windows XP/Vista 添付のもので確認)。間違いがあるかもしれません。
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