【ビジネスアイコラム】日本は「中国化」するか 板谷敏彦 (1/2ページ)

2012.2.10 05:00

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 かつて「日本化」=ジャパナイゼーションとは「かんばん方式」に代表される日本の製造業の強さを表す言葉だった。欧米の疲弊した製造現場は争ってQC活動などの日本方式を取り入れたものだ。

 ところが残念ながら、今日的な意味での「日本化」は先進諸国の先頭を切る高齢化社会、社会保障費の負担に積み上がる財政赤字、経済の長期停滞などを意味する、すっかりネガティブな言葉になってしまった。

 最近話題になっている言葉が、「中国化」である。若手歴史学者、與那覇潤氏の著書「中国化する日本」(文芸春秋社)で示された歴史観だ。

 第二次世界大戦後の日本は「アメリカ化」によってジーンズをはき、ハンバーガーを食べ、コーラを飲み、ディズニーランドにあこがれた。だがここでいう「中国化」はそういう意味ではない。統治システムが中国化するという意味だ。

 中国は10世紀、宋の時代に、社会のしくみを大きく変えた。上級国家公務員試験に相当する科挙を設け、皇帝以外に世襲はなく国民は基本的に実力に見合った地位や収入が手に入る仕組みにしたことである。実力主義の登場だ。それは、社会に貨幣経済を浸透させ、土地や職業にしばられない国民を生みだし、官僚は郡県制の下で反乱を防ぐために地縁のない土地に赴任させられた。皇帝が政治を独占するが経済活動は何でも自由となった。と考えると、確かにこれは現在の中国共産党による統治システムと似ている。

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