備え先行島緊迫 PAC3

空自輸送機で石垣空港に到着し、配備地の新港地区行きのバスに乗り込む陸自隊員ら=3日(又吉嘉例撮影)

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PAC3の配備反対を訴え抗議集会で気勢を上げる市民グループ=3日午後6時すぎ、宮古島市・平良港下崎埠頭前

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2012年4月4日 09時17分
(24分前に更新)

 自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)関連部隊が3日、一斉に沖縄に上陸した。本島に、宮古島に、石垣島に。空自の輸送機、海自の輸送艦、陸自のヘリが、押し寄せた。民間地にも迷彩服姿の自衛官や大型車両が展開し、軍事色が漂った。北朝鮮の「脅威」の内実が分からないまま、備えだけが進む。市民からは不安と安心と、正反対の声が聞かれた。

 【石垣】淡い水色の航空自衛隊C130輸送機が、基地のない島に緊張感を運んできた。陸自、空自隊員計200人以上が3日、石垣市に到着。市街地に近接する「新港地区」でPAC3の展開作業と宿営を開始した。市民の安全のため「万全な対策を図る」(中山義隆市長)という市の協力態勢の下で配備は進むが、市民には観光や平和外交への悪影響を心配する感情もくすぶる。

 同日午前9時半、石垣港に接岸した貨物船から、灰色の自衛隊トラックが次々と構内に降ろされた。午後には隊員が輸送機3便で順次到着、チャーターされた観光バスで同地区へ。市街地上空からは、機材を運ぶ陸自CH47ヘリのローター音が響いた。

 「島々の国民のために一丸となって、最善の備えをしたい」と、救護や情報支援業務を担う陸自第15旅団第51普通科連隊の中西信人連隊長。「情報も可能な限り提供したい」と、理解を求めた。

 隊員やヘリを見ようと、同地区を訪れる市民の姿も。市街地からトラックを追ってきたという市内の女性(38)は「本当にミサイルが落ちてくるのか分からないが、やはり怖い。配備が始まったのを見て安心した」とほっとしていた。

 一方、配備地に近いホテル従業員の男性(34)は「守ってくれるのはありがたいが、観光客にとって、ミサイルがあるのはいい気がしないだろう。『南国』とのギャップを感じてしまうのではないか」と懸念する。

 市民でつくる「平和憲法を守る八重山連絡協議会」(仲山忠亨会長)も「平和外交での解決を」と配備へ抗議声明を出したが、抗議行動はしなかった。仲山会長は「配備は南西諸島の防衛力強化の布石だと思えるが、市民の不安な声も無視できない。平和運動が誤解を招いても困るため、じっくり対応を考えたい」と語った。

宮古では抗議集会

 【宮古島】PAC3が到着した宮古島市の平良港下崎埠頭(ふとう)前では午後6時すぎから、平和団体や市民グループなど約60人が抗議集会を開いた。

 参加者は「子どもたちの未来に軍事は要らない」「宮古を危険な島にしないで」などと書かれたプラカードを持ち、気勢を上げた。

 平和運動センター宮古島の砂川勝哉議長は「民間港を使い、ミサイルを積んだ車両が島内を堂々と通るのは異様。住民を巻き込んだ配備の地ならしだ」と強調。

 宮古平和運動連絡協議会の星野勉共同代表は「北朝鮮の危険をあおり、住民に自衛隊の受け入れをアピールする布石だ」と指摘した。

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