公的年金保険料の悪質滞納者に対する強制徴収を、国税庁が日本年金機構から22日に委任されたことが分かった。悪質滞納者に対する強制徴収を委任するのは、制度ができた10年1月以降初めて。
今回の強制徴収の対象者は法人で、早ければ今週中にも着手する見通し。委任を受けた国税庁によると、今回のケースでは滞納者を管轄する東京国税局に滞納処分の権限があるという。
社会保険庁が解体され、日本年金機構を発足させた10年に、保険料の滞納が2年以上や1億円以上など悪質な滞納者について、厚生労働省を通じて強制徴収の業務を行う国税庁に委任できるように法改正されていた。日本年金機構が滞納の徴収権限を厚生労働相に戻したうえで、財務相に委任して徴収が行われる。しかし、2年以上にわたって一度も行われていなかった。
年金保険料の徴収を巡っては、国民年金の未納者や厚生年金の加入逃れ事業者といった問題が指摘されている。このため政府は、国税庁と日本年金機構を統合して徴収体制を強化し、税と社会保険料を一体的に徴収する「歳入庁」創設を検討している。同庁創設は民主党の09年衆院選マニフェストにも盛り込まれ、政府が年度内の閣議決定を目指している消費税増税法案でも「歳入庁創設の検討」を付則に盛り込む。【飯田和樹、石川隆宣】
毎日新聞 2012年3月22日 15時13分(最終更新 3月22日 16時50分)
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