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放射性セシウム:事故前の100倍に 福島沖プランクトン

 事故を起こした東京電力福島第1原発の沖合300キロの海中に生息する動物プランクトンに、最大で事故前の約100倍に当たる放射性セシウムが含まれていたことが、東京大大気海洋研究所(千葉県柏市)の西川淳助教(海洋生物学)らの調査で分かった。セシウムは原発事故由来とみられ、流出した放射性物質が海洋に広範囲に拡散していることを示す。西川助教は「低濃度だが、食物連鎖を通して魚類に蓄積する生物濃縮の可能性もあり、継続的な調査が必要だ」としている。

 調査結果は3日付の米国科学アカデミー紀要に掲載された。

 調査は原発事故後の昨年6月、米ウッズホール海洋研究所などのチームと合同で実施。同原発の30~600キロ沖合の約60地点で海水と動物プランクトンを採取し、放射性セシウムの濃度を調べた。

 その結果、放射性セシウムは全地点で検出された。動物プランクトンの最大値(セシウム134と137の合計)は、沖合300キロ地点で採取したもので乾燥重量1キロ当たり約102ベクレル。事故前の平均値(セシウム137のみ、同0.1~1ベクレル未満)の最大100倍に当たる。最小値は600キロ沖合で同0.3ベクレルだった。

 海水中の放射性セシウムの最大値は、沖合100キロ地点で1立方メートル当たり7733ベクレルだった。福島沖の南には黒潮が流れ、房総半島沖で東へ蛇行しているが、今回の調査で黒潮の南側では放射性セシウムがほとんど検出されなかったことから、調査時には黒潮が放射性物質の南側への拡散を防いでいたらしい。

 西川助教は「動物プランクトンを餌にする海洋生物は種類ごとに、時間を追って変化を注視する必要がある」と話している。【神保圭作】

毎日新聞 2012年4月3日 7時07分(最終更新 4月3日 10時02分)

 

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