強い4歳世代のトップに君臨するヴィクトワールピサが、実力の違いを見せつけた。ドバイ遠征へ向けた大事なリハーサルを完璧にこなし、世界へ羽ばたく。
ミルコ・デムーロ騎手の取った作戦は、後方待機策だった。1コーナーを10番手でゆっくりと通過。向こう正面でもムキになって前を追いかけずに、ヴィクトワールとのリズムを最優先し、4コーナー手前から一気にスパート。瞬発力の違いは歴然で、馬場の大外を一気に突き抜けた。逃げ込みを狙う先輩の皐月賞馬キャプテントゥーレをアッサリかわし、余力残しで伝統のGIIを制した。
「休み明けで少しテンションが高かった。強いストレスをかけたくなかったし、距離も1800メートルだったから、リラックスして走らせたかった」とデムーロは完勝劇を振り返る。
「ホッとしました。スタートして後方になったときは、ついて行けないのかなと思いましたが、4コーナーから大外一気。本当にこの競馬場の走り方を知っていますね」と角居勝彦調教師は安堵の笑みをもらした。
有馬記念快勝後、今年初戦に中山記念を選んだ理由はふたつ。コース相性の良さ(これで4戦4勝)と、ドバイワールドCが2000メートルのため、少し速い流れを経験させたかった。結果を出したうえ、理想的なステップを踏むことができたのは大きい。
今後は3月3日に検疫厩舎に入厩し、9日にドバイへ向けて出発する。「きょうのレースで、ドバイへの夢が広がりました。とても強い馬だし、このままいい形で行きたいね」とデムーロは期待に胸をふくらませる。
史上最強牝馬と評されるウオッカでも果たせなかったドバイでのGI制覇。ヴィクトワールピサが、ブエナビスタとともに、最強の日本代表として中東の地に乗り込む。(高尾幸司)
(紙面から)