AKB48などODSで頭角――東宝の“映像事業部”って?
nikkei TRENDYnet 3月28日(水)11時6分配信
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映画館で、音楽ライブやスポーツ、舞台などの映像を上映するODS(Other Digital Stuff=非映画コンテンツ)が活況だ。11年、映画の興行が前年比約18%減と大きく落ち込むなか、100本を超える作品が公開。コアなファンがいる作品... |
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同事業部がODSを始めたのは09年。05年に「シネマ歌舞伎」をスタートした松竹などに比べると後発だが、10年には単館で推定興収4億円超を記録した『Mr.Children/Split the Difference』、それを上回る興収4.5億円を叩き出した前述のAKB48など、短期間にヒットを連発している。
もともとは、映画館でのパンフレットやグッズ販売、DVDなどのパッケージ販売を手がけてきた東宝の一部門。どのような経緯でODSを始めたのか。
東宝グループの受け皿に
同部の編成・販促課長中野滋氏によると、「本業のパッケージ販売で培ったセンスが、ODSの展開に生きている」と言う。09年と初期の段階から継続しているお笑いのライブ中継『爆笑問題 with タイタンシネマライブ』は、若手芸人とは異なるツウ好みのコンテンツ。また、昨秋フジテレビのアニメ枠「ノイタミナ」からの映画化『UN-GO 因果論』の上映も手がけたが、これは、『四畳半神話体系』(10年4月期)から同枠のDVD販売元として関わったのが始まり。昨年4月期の『C』からはテレビ放送の宣伝を含めて任され、関係を強化してきた。
東宝が国内最大の映画会社であり、最大の興行網であるTOHOシネマズが関連会社にあることも大きい。シリーズものとして手がける『TAKARAZUKA REVUE CINEMA』(10年〜)は、「(宝塚と関係が深い)東宝らしい作品ですが、200〜300館の公開規模を前提とする本体では扱えない作品でした」(中野氏、以下同)。次第に、東宝本体のラインアップを決める映画調整部から、本体では扱えないが小規模公開向きの企画情報が寄せられるようになった。また、配給部門を持たないTOHOシネマズで上映したい作品の配給を相談されるなど、グループ内の「受け皿」として機能する仕組みができてきたのだ。
映像事業部は09年度に赤字転落したが、調達力の強化、小規模部隊ならではの機動力で、的を絞ったプロモーションを展開。その結果、10年度には黒字に転換。11年度は好調だったパッケージ販売とODSの相乗効果で、最高益に達する見込みだ。結果、持ち込まれる企画も増えるという好循環が生まれつつある。
今年は、「事業部のベースであるパッケージ商品を意識したラインアップ」と新ジャンルにも挑戦していく。海外映画祭での公式上映も多い『POV 〜呪われたフィルム〜』のようなホラー作品や、『ジュエルペット』といった女児向けアニメも初めて手がける。わずか3年で注目ブランドとなった東宝映像事業部のODS。今後の展開も要注目だ。
(文/波多野 絵理、日経エンタテインメント! 編集部)
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最終更新:3月28日(水)11時6分