アトキンス式はお腹が空かない
アトキンスダイエットは30年も前に糖尿病の食事療法としてスタートし、減量効果の高いダイエット法としていまも人気があります。
糖質制限食は日本でも、ドクター江部や釜池氏によって広く知られるようになってきました。
アトキンス式は、1日の糖質摂取量をの5%以下に制限しますが、このように糖を極端に制限すると、脳の摂食中枢がはたらかなくなるので空腹感が消失します。
今回、アトキンス氏の原書を入手したので、博士の理論を読みながら体験してみることにしました。


糖質制限食1日目
体重62.7Kg 体脂肪率20.0%

第1日目の食事は、炭水化物を0にできたつもりでしたが、実際には12%でした。これを5%以下に抑えるのはたいへんです。糖質ゼロの食事をすると、味覚が研ぎ澄まされます。糖質を制限すると血糖が上がらないので、脳の空腹センサーが働かず、空腹感がこないので食事の時間がいつくるのかわからないのが困ります。また、空腹感がないので、食べても満足感が少ない気がします。

糖質制限食2日目
体重61.6Kg 体脂肪率18.6

アトキンス2日目は、ショッピングのため遠くまでドライブしました。外出しても空腹感が少ないので、食事のわずらしさがありません。やはり、血糖を上げなければ、血糖の低下が生じないので空腹感が起こらないのは事実のようです。

糖質制限食3日目
体重61.3Kg 体脂肪率19.3%

アトキンスダイエットの3日間で2Kgも低下しました。
糖質制限食では、穀類を摂らないために食物繊維が不足し、蛋白質が増加するのでコレステロールが増加します。
昨日から、おからと糸こんにゃくで、食物繊維を22.7g摂りましたが、便秘になりました。


炭水化物抜きダイエット4日目
体重61.3Kg 体脂肪率18.6%

食事のコツがわかってきました。蛋白質は鶏ささみのコンソメ煮がベストです。食物繊維はおから50g入りコンソメスープを毎食飲むと摂れます。生野菜ジュースを止め、マルチビタミンを飲むことにしました。
今日こそケトン体が検出できると思っていましたが、陰性でした。ジョギングをすれば反応が出るはずですが、今回は運動なしでデータをとるつもりです。


糖質制限食5日目
体重61.3Kg 体脂肪率17.5%

ケトスティック試験紙にわずかに反応があり、陰性と5mgの中間でした。


糖質制限食6日
体重61.5Kg 体脂肪率16.95%

体重が4日目から3日間連続で低下し、61.3Kgになった。体脂肪は減っていないようで、体重減の大部分は体液の減少だろうと思います。

睡眠障害
糖質制限食3日目から、夜中に何度も目覚めるようになりました。寝つきが悪く、夜中に何度も目が覚めます。
睡眠が浅いのは、トリプトファンの摂取量が少なくなっているせいではないかと、気がついて調べてみました。
トリプトファンは穀類と大豆に多いので、睡眠障害は穀類が摂れないアトキンス式の欠点ではないかと思います。
きな粉にトリプトファンが多いので、今日から蛋白質をきな粉をとってみようと思います。


糖質制限食7日目
体重60.7Kg 体脂肪率17.1%

ケトスティック
陰性でした。蛋白質の平均摂取量が96gと多いので、ケトン体が出ないのかもしれません。
糖質の制限だけでなく、蛋白質も制限して筋肉が分解され始めるところまで持っていかなければ、 ケトンモードにならないようです。明日から蛋白質を60gに減らします。


糖質制限食8日
体重60.3Kg 体脂肪率17.9%


糖質制限食で初日から便秘になりました。
7日目と8日目の2日続けて下剤をかけましたが、下剤をかけても少量しか出ません。
おからスープで毎日20g以上の食物繊維を摂っていますが、ヨーグルトと発芽玄米が食べられないのが大きな原因だろうと思います。
腸管を通過する便の量が減少すると、当然体重が減少します。
今回の急激な体重減はこれが原因だろうと思います。


糖質制限食9日目
体重60.7Kg 体脂肪率16.9%

今日もケトンがでませんでした。糖質をゼロにし、蛋白質の量によってケトンが出たり出なかったりする値が見つかれば、その値がアトキンス式ダイエットの最適値だろうと思います。この14日間でその値を見つけたいと思っています。

アトキンスダイエットの原書
アトキンス博士は、次の効用を挙げています。
・カロリー計算なしで痩せられる。
・元気になり、精力的になる。
・減量後の新しい人生を栄養豊かで美味しい食生活とともに過ごせる。
・長寿への食事がわかる。



糖質制限食10日目
体重61.2Kg 体脂肪率16.6%

新谷弘実教授という人が内視鏡で30万人以上の腸内を見た結果、動物性食品をよく食べている人は腸相が悪く、酵素が健康に関わっていると結論づけたということです。
新谷弘実教授は、酵素の多い全粒穀物や豆などの植物性食品を中心とし、動物性蛋白質は小魚、鶏が良いとしています。
私もそのとおりだと思います。私の便秘は、玄米食をストップしたことと、ヨーグルトが食べられないことにあると思います。

糖質制限食11日目
体重60.8Kg 体脂肪率16.8%

アトキンス改訂版
アトキンスダイエットの本の最初の365ページがダイエットのしかたの説明で、後りの137ページはレシピ集です。
ケトン体の仕組みやエネルギー利用の割合、筋肉の分解や糖新生、代謝の低下、空腹のメカニズムなど、私が知りたかったことは何一つ書かれていません。
道理で、この本には1枚のイラストも載っていないはずです。
アトキンス氏の理論展開は、体重200キロの超肥満者を例に挙げて、砂糖がいけない、炭水化物がいけない、アトキンスダイエットに従えば減量に成功すると説得するだけです。
アトキンス氏の本に書かれていることは、アメリカ人の中でも特別な超肥満者に対する処方が主です。健康な日本人の参考にはなるものがありません。


糖質制限食12日目
体重61.0Kg 体脂肪率16.8%

アトキンスを始めた翌日から便秘になりました。
便秘の解消には、玄米ご飯、ヨーグルトが大切だと思います。アトキンスを始める前の私の食事は、玄米食、ヨーグルト、生野菜ジュースを毎日摂っていましたが、これをすべてストップしたことが、この便秘の原因であることは間違いないようです。
睡眠障害もつづいています。私はこの糖質制限食で空腹感に慣れてからデトロイトダイエットに移行するのがベストのダイエットではないかと期待して、このダイエットの体験を始めましたが、人にお奨めできる方法ではないように思います。


糖質制限食13日目
体重60.3Kg 体脂肪率16.0%

夕食に青汁入りの寒天を作ってみました。
分量の材料を鍋にいれ、熱を加えて沸騰したら、タッパーに入れ、外気で冷やすと2時間ほどでできあがります。野菜や肉と一緒に、少し甘みにある青汁入り寒天を食べると、リッチな感じがして美味しい。
粉寒天・・・4g
粉末青汁・・・2袋
パルスイート・・・少々
水・・・400cc

復食計画
明日からは蛋白質60g、脂質40g、糖質100gを摂取する予定です。
デトロイトダイエットのときの糖質は朝食40g、昼食30g、夕食30gでしたが、明日からは朝食20g、昼食40g、夕食40gの配分でいこうと思います。
一般に、朝はしっかり食べると良いいいますが、この考え方がダイエット時の空腹感を強くしているのだろうと思います。これが、糖質制限食で得られた収穫です。


糖質制限食14日目
体重60.3Kg 体脂肪率16.0%


糖質制限食で確かめられたこと
・2週間のアトキンスで3Kg減量に成功。
・血糖をあげなければ、空腹のメカニズムが働かないので空腹感が少ない。
・アトキンス氏はアトキンス式を心臓病、高血圧予防の健康食だと言っているが、これは体重が200キロも250キロもある人が体重を減らすと健康になるという意味であり、普通の日本人にとって理想の栄養バランスと言っているのではない。
・全米心臓病協会がアトキンス氏と公開討論をしても結論が得られないのは、心臓病協会が一般人の健康を論じているのに対して、アトキンス氏が超肥満体の人の健康について論じているので、両者の議論はいつまで経っても結論が得られない。アトキンス氏が心臓病協会推奨のシュガーフレ−クが肥満の元凶だとか、米国農務省制定のフードガイドが米国人の糖尿病患者の増加の直接の原因だなどと挑発するので、論争がいつまでも続く。
・全米の医師の80%がアトキンスダイエットに反対する立場をとっているが、これは、多くの医師が健康な人の健康維持を目的としてから。
・アトキンス式を実行すると便秘と睡眠障害になるので、糖尿病患者以外は実行すべきでない。


アトキンス氏の主張
アトキンス氏は本の中で、インスリンの過剰分泌、砂糖中毒、炭水化物中毒、飲み物中毒という日本人には耳慣れない言葉を頻繁に使います。
左図は、日本人とアメリカ人のインスリン分泌能力を比較したグラフです。農耕民族の日本人と比べると、狩猟民族のアメリカ人はインスリンの分泌能力が2倍も大きいのです。
このインスリンの分泌能力の大きさがインスリンの過剰分泌、砂糖中毒、炭水化物中毒などの言葉を理解するキーワードになります。
アメリカ人は日本人よりもインスリン分泌能が高いために、炭水化物を摂取するとインスリンがどばっと分泌される傾向があって、炭水化物を食べれば食べるほど血糖が下がるという逆転現象が起こる人が多いそうです。このことをインスリン過剰分泌といっています。
日本人でも過食症の人は、普段から糖新生によって血糖が維持されているために、過剰分泌が起こることがあります。

アメリカ人の中にはボリュームたっぷりの食事をし、食べ終わったらもう次の食事のことばかり考える人たちがいます。精白砂糖はいけないが、メープルシロップのような茶色の砂糖は良いと言われるので、メープルシロップを飲むように食べる人たちや、甘いドリンクを際限なく飲む人たちがいます。日本人には信じられませんが、本当に中毒という言葉がぴったりの人たちです。
アトキンス氏はこのような人たちに対して、白い砂糖はいけない、精白炭水化物がいけない、甘いドリンクがインスリン過剰分泌を招くのでいけないと繰り返し説得しています。

アトキンス氏は炭水化物以外なら何を食べても良いし、いくら食べても良いと言っていますが、これはインスリンの過剰分泌がある人たちに言っている言葉であって、日本人に対して言っているのではありません。
アトキンス氏はまた、アトキンス式食事は健康食なので、心臓病や高血圧を予防し、食事を楽しみながら、長生きできるのだと説明していますが、それは体重が200キロも250キロもある人が減量したら、心臓病や高血圧の予防になり、長生きできると説得しているのであって、炭水化物を20g以下にしたら、日本人にも理想の食事だと言っているわけではありませんでした。


ケトンモード
脳のエネルギーはブドウ糖です。心臓や呼吸筋、消化器、筋肉などの臓器は細胞内にミトコンドリアを持っているので、脂肪を直接燃やすことができますが、脳の血管関門は細くなっていて脂肪が通過できないので、脳だけは脂肪をエネルギーとして使用することができません。
もしも、絶食でブドウ糖の流入が途絶えると、肝臓が脂肪からケトン体を作り、血液中に放出します。ケトン体は水溶性のため脳血管を通過できるので、脳はケトン体をエネルギーとして使用します。
左図は身体がケトンモードになったときのエネルギーに利用状況を示します。
脂肪は空腹時に備えて蓄えられたものなので、空腹にすると、脂肪酸とグリセロールに分解されて溶け出します。肝臓はこの脂肪酸をケトン体に分解して、全身に送ります。
絶食のために脳のエネルギーが不足すると、肝臓は血液中のアミノ酸からブドウを合成して脳に供給します。肝臓が糖以外の物質からブドウ糖を合成することを糖新生といいます。
血液中のアミノ酸が不足すると、身体は筋肉をアミノ酸に分解し、肝臓はアミノ酸2gからブドウ糖1gを合成して脳に供給します。
ケトンモードで、脳はブドウ糖の消費を少なくし、ケトン体の使用を多くします。
図では、脳はグルコース44g、ケトン体47gを使用しています。
糖新生はアンモニアを発生するので、肝臓と腎臓に負担をかけます。



アトキンス式でケトンが出なかった理由
絶食の場合は3日目からケトンが出るのですが、アトキンス式ではケトンが出ませんでした。
アトキンス氏は2週間したら、ケトンが出る範囲でなら、1週間に10gの割合で炭水化物を増やしても良いと言っていますが、私の場合は2週間でケトンが出ませんでした。 蛋白質を食べると、ケトンが出ないのです。

絶食が続くと、体脂肪が唯一のエネルギー源になるので、
脂肪酸から、アシルCoA - 不飽和アシルCoA - ケトアシルCoA - アセチルCoA - アセトアセチルCoA - 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA - ケトンの経路を通って、血液中にケトンが放出されます。

ところが、アトキンス式では蛋白質を無制限に食べるので、アミノ酸からピルビン酸が得られるため、脂肪酸のアセチルCoAがTCAサイクルに入る経路が通じるので、ケトン体が産生されることがないのです。

左図で、×印は絶食時の状態。
アトキンスダイエットではピルビン酸が供給されるので、β酸化の亢進が起こらない。
ピルビン酸は解糖の最終産物。


代謝マップ
ケトン体の合成
肝ミトコンドリアの脂肪酸の代謝が亢進すると、生じたアセチル-CoAの一部は別経路に入り、アセト酢酸、b-ヒドロキシ酪酸、アセトンのようなケトン体に作り変えられる。
なぜ、ミトコンドリアないで脂肪酸の代謝が亢進するかというと、絶食のためにピルビン酸が得られないから。