〔船越友吉〕［現代船井郡人物史］
2012年04月02日(月)
〔船越友吉〕［現代船井郡人物史］
［現代船井郡人物史］三丹新報社・大正五年九月二十五日発行
〔船越友吉君〕p74-75
機織業
船井郡園部町字宮町
氏は元治元年船井郡竹野村字口八田に呱々の声を挙ぐ、
祖先代々農を業とし船越源七氏の長男たり
青年時代は厳父を助け農事の傍ら
筵、畳表等の行商を業とせしが頗る才智に富み
明治二十三年十月基督教に改宗し以来信心堅固にして
同教の為に盡瘁せるもの尠からず
今や丹波基督教会主任執事として重を為せり、
明治二十四年以来は養蠶、製糸業の為に奮闘し
巡回教師として斯業界に貢献せるもの甚大なりき、
夫人のり子は但馬出身にて曾て製糸工女となり
累進して教婦となり船井郡に居ること多年、
殊に氷上郡佐治村白鶴社に教婦として其名を知られ
斯業界の敏腕家たりし賢婦なれば
當時の趨勢は製糸業のみにては成功期すべからずと
機を見るに敏なる友吉氏と図り
明治三十年園部町に転し現在の處に工場を設け
機織業を開始するに至りたるものなるが、
夫婦にて其衝に當り孜々奮励せしかば瞬間に隆盛を見るに至り
現在職工三十餘名にて益々発展を企劃しつゝありて
今や園部屈指の商人となり、
郡に於ては郡是製糸会社の大株主を以て称せられ其相談役たり、
亦園部町信用組合理事長、園部米蠶株式会社々長、
船井郡蠶糸同業組合評議員等を勤め名声を博せり、
君は温厚沈着の如くなれども、性熱烈、満々たる覇気を有し
磊落淡白と云ふを得ざれども其欲す所は諄々として是を語り、
決して人後に落ちず、議論正確にして衆人を肯首せしむる雅量を為せり、
頭脳明晰にして思慮深淵なれは一言一句も苟せず、
されば其発する一言は千金にして未だ君が事業に違算を生したる事なく
是れ君が今日の成功を為したる所以なれども、
君には前にも記す如く
類ひ稀れなる才婦人の援助亦關かつて力大なりと云ふべし、
君は非常なる活動家にて前半世は船越家の為に劃したれども
今や覇を公共の為に傾注すべき時期に到達せり、
世の坊稚育ち、将た高等学府の出身に比すれば晩年の威あれども
其實力は血気定まらざる青壮輩の遠く及ふ所にあらず、
君幸に自重自愛以て後半世を公共の為に盡し
名声の益々大なるを期せられんことを。
大正五年九月二十日印刷
大正五年九月二十五日発行
編輯兼発行人 藤本 薫
京都府天田郡福知山町字岡ノ九番地ノ拾五
印刷人 中西勝太郎
京都市下立売小川東入西大路町十番戸
印刷所 中西印刷合名会社
京都市下立売小川東入西大路町十番戸
発行所 三丹新報社
京都府天田郡福知山町字岡ノ九番地ノ拾五
p74
木口幸男家所蔵：［世木澤翁 記念帖］p20/31
上 渡道勧誘者（叔父）
西田新蔵氏
右 渡道三ヶ年目
明治三十五年(1902)撮影
當主 二十七才
夫人 二十六才
登氏 四才
左 大正五年(1916)四月撮影
長男 登氏 大阪市
吉田長祥商店
入店記念
當主 四十一才
登氏 十八才
叔父 船越友吉氏
五十三歳
http://blog.zaq.ne.jp/kazuo1947/article/226/
http://blog.zaq.ne.jp/kazuo1947/article/259/
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2012年4月2日 17時02分
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