1日午前0時ごろ、大阪市中央区心斎橋筋2丁目の路上で「数人の男女がけんかしている」と110番があった。現場では催涙スプレーのようなものがまかれており、目やのどの痛みを訴える人が続出。顔面打撲など、17〜37歳の男女計13人が病院に搬送された。全員が軽症とみられる。大阪府警南署は暴行と傷害容疑で大阪市西成区のガールズバー経営・山田陸泰容疑者(32)を逮捕した。
深夜でも人通りの絶えない繁華街が修羅場と化した。「ゴホゴホ」「なんや、これ!!」。催涙スプレーによって混乱した現場に怒号や悲鳴が響いた。
南署によると、同窓会帰りの男女7人がガールズバーの従業員の男性にしつこく客引きされたことから殴り合いに発展した。現場にいた山田容疑者が加勢する形で携帯していた催涙スプレーを噴射。トラブルと無関係の通行人にもかかった。山田容疑者は「従業員が若い男にたたかれているのを見て殴り合いに加わった」と供述。催涙スプレーを使ったことには「相手が多くて袋だたきに遭い、反撃のために噴射した」と認めている。
南署は当初、20歳の男性を蹴ったとして山田容疑者を暴行容疑で逮捕。山田容疑者も胸にけがをしていたことから病院に搬送され、一時釈放された。だが、同署は男性を蹴る前に催涙スプレーをまいたのが山田容疑者だったとみて事情を聞き、容疑を認めたため傷害の疑いで再逮捕した。逮捕容疑は1日午前0時ごろ、心斎橋筋2丁目の路上で催涙スプレーをまき、いずれも20歳の男女2人の目に軽症を負わせた疑い。
騒ぎを見ていた男性(24)は「商店街の真ん中をふさぐくらい大きなけんかになった。小一時間続いた」。顔が血だらけの男性とすれ違ったというカラオケ店の男性店員(22)は、店近くで目の痛みを訴えうずくまる男性がいたため、店の同僚が水を買いに行った。同様の症状を訴える人が相次ぎ、ビルの警備員が用意したホースを使って顔を洗ったという。
現場は阪神タイガースの優勝時や、サッカーW杯で日本代表が勝利した時などにファンが道頓堀川に飛び込むことで知られ、「ひっかけ橋」の異名もある大阪・ミナミの観光名所「戎橋」のすぐ北側。一時はやじ馬も含め数百人の人だかりができて騒然となったが、付近の飲食店の男性店員は「(事件直後に)店の客がせき込みだした。このあたりでのけんかは珍しいことではない」と淡々と話した。