水俣病:救済申請「7月末まで」 正式に表明

2012年2月3日 20時59分 更新:2月3日 21時17分

水俣病特措法に基づく救済の申請期限について会見する細野豪志環境相=東京・霞が関の同省で2012年2月3日、須賀川理撮影
水俣病特措法に基づく救済の申請期限について会見する細野豪志環境相=東京・霞が関の同省で2012年2月3日、須賀川理撮影

 細野豪志環境相は3日、国の基準で水俣病と認められない被害者を対象にした水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に基づく救済措置の申請期限を今年7月31日までと正式に表明した。患者団体などには期限の設定に反対する意見もあるが、特措法が定めた「3年以内(13年4月末)をめどに救済対象者を確定する」との規定を重視し、審査に9カ月程度かかることを考慮した。細野環境相は記者会見で「皆さんにしっかりと申請していただくには今後、半年程度は必要と判断した。期限を知らなかったという人が出ないよう、省を挙げて周知活動を徹底したい」と述べた。

 申請期限までの対応として環境省は、全国の医療機関にポスターを配布したり、駅前などでチラシ配布を行って広報活動をする。また、有効な周知広報の手段を探るため、既に手続きを済ませた新潟県の申請者を対象に、救済手続きの申請を知った経緯についてアンケートを実施する。

 さらに原因企業チッソや昭和電工への遠慮で申請をしない人がいることを考慮し、社内報で呼びかけるよう両社に要請する。

 水俣病への偏見を気にして医療機関を受診することに抵抗がある人には、公民館で集団検診するなどの対応をとる。

 一方、救済は認められなかったが健康に不安を感じている人には、年に1回、医師による健康診査などが無料で受けられるようにする。メチル水銀の健康影響を把握するための研究や水俣病の治療方法の開発も進める。しかし患者団体が求めていた、被害の実態を明らかにするための大規模な健康調査については今後の施策に盛り込まれなかった。

 今後、申請者が増えると来年4月末までに救済対象者を確定する作業が終わらない可能性もあるが、細野環境相は7月末までの申請者については「不利益を被らないようにする」と述べた。

 特措法は09年7月に成立。10年5月から熊本、鹿児島、新潟各県で申請受け付けが始まった。3県の判定検討会が一時金(210万円)や療養手当(月1万2900~1万7700円)などの給付対象者▽医療費のみ給付対象者▽非該当者--を判定し、対象者には水俣病被害者手帳が交付される。

 環境省は当初、救済申請者を約3万人と見込んでいた。これに対し、昨年末までの救済申請者は3県で4万9636人に上った。【藤野基文、西貴晴】

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