5KBのゴングショー第240戦勝者

「1423」

SBG1423

 追加のオーダーを客774が入れた。
 オーダー1423。
 面倒な品だ。
 彼はそう思ったが、同僚が「ラッキーだな、この時間に1423なんて」とホクホク顔で言うものだから、彼も「そうだね。おかげで今日は目標達成だ」とニコニコ返す。
 1423は面倒と言えば面倒だが、原価率から言えば確かに利幅が大きい。同僚も彼と同様バイトなんだけれども、そのうち店を持ちたいと考えているらしく、オーナーの考えに感化されている感がある。
 1423を作るのは彼だ。
 同僚は前に作ってみたが、客からクレームがついてしまい、作成作業から外された。
 彼は材料3と材料1、そして材料4を同量ずつ混ぜ、そして3と1とを混ぜた後、その上澄みだけを掬って、先ほどのものに浮かせた。
「見事だな」
 同僚はいつものように感心した口調でそう言う。
「まぁ、こんなものでしょう」
「じゃあ、俺が持っていくぜ」
 たぶん、美女が待っているのだろう。
 でも、彼は表に立つのは好まない質なので、「じゃあ、よろしく」と言って同僚に出来立ての1423を手渡す。
「任せておけって」
 同僚はトレイにそれを載せると、いったんトレイを置いて、髪型を壁のミラーで整え直し、「じゃあ、行ってくるぜ」と颯爽と出ていった。



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