原発被害者を絶望させない政治を
福島県相馬市で酪農家の50代の男性が自ら命を絶ちました。男性の家は親の代からの酪農家。約30頭の乳牛を飼育していましたが、搾乳した原乳が放射能に汚染されていることが判明して3月に出荷を止められました。
乳牛の乳を止めることはできませんから、酪農家は乳を搾って捨てるしかありません。テレビでもそのような光景が流されていました。
私たちの世代は食べものを粗末にすることに抵抗が強い世代です。普段、家庭でも外食でも、少し多いな、と思っても食べ残すことにためらいがあります。食べ残すと捨ててしまうことになるというのに罪悪感を感じるからです。
ましてや手塩にかけた大切な牛の牛乳を、むざむざ捨てなければならないとしたらどんなにつらいことでしょう。
自殺した酪農家の男性は、3月から毎日、搾った牛乳を捨て続け、5月には全頭を売り払わなければならなかったそうです。その間、毎日の心の痛みを想像すると何とも言いようのない気持ちになります。
現場の堆肥舎の壁には「原発さえなければと思います。仕事をする気力をなくしました」という遺書とともに、「原発で手足ちぎられ酪農家」という辞世の句も書かれていたそうです。
震災という自然の災害ならば、「仕方がない」と気持ちを切替え、立ち上がる方に向かって進んで行くこともできるかもしれません。しかし、地震に伴う原発事故は人災です。しかもいつまで続くか収束のめどもつかず、どれだけ長く辛抱した良いのか分からない状況では、希望を持てという方が無理なことでしょう。
この酪農家の男性だけではなく、須賀川市では野菜の出荷を制限されたキャベツ農家の64歳の男性が、命を絶ちました。また、飯舘村では避難した家族との別離を強いられた高齢者が自殺しています。
政府は原発事故に伴う損害賠償の範囲を検討していますが、いまだに詰め切れず、被害を受けた方々は不安な日々を送っています。また、自殺者や遺族をどう扱うのかもはっきりしません。
震災・原発事故からすでに3ヶ月。あまりにも長い停滞には菅直人首相の無策と居座りも大きく影響しています。
一刻も早くこの混沌から抜け出すためにも首相の早期退陣と新しい態勢づくりが必要です。
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