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【社会】

東電に安値で売電 1都4県水力発電

2012年4月2日 07時11分

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 水力発電所を運営する東京、神奈川、群馬、栃木、山梨の一都四県が、東京電力に随意契約で安く売電していたことが分かった。経済産業省などの試算では、仮に特定規模電気事業者(PPS)も交えた競争入札を実施し、直近の市場取引価格で売っていれば、最大で年間百十七億円も増収になっていた。東電に格安の電気を提供し、もうけさせてきたとも言え、住民から批判が出そうだ。

 経産省によると、一都四県から東電への売電価格は一キロワット時で平均七・七円。

 これに対し、二〇一一年度の競争入札による水力発電の取引価格は同十〜十二円と、一都四県の売却価格より二〜四円程度も高い。売電総額では約六十三億〜百十七億円も高く売ることができた可能性がある。その分、住民の共有財産は減り、東電がもうかった計算だ。

 十三の水力発電所を持つ神奈川県は「電気を安く売れば、消費者の電気料金も下がる」と説明するが、東電の一般家庭向け電気料金を同社のホームページで試算すると、一キロワット時二三・八円と一都四県が東電に売った価格の三倍にはね上がっている。

 東電の電気料金の高さを批判してきた東京都の担当者は「国の電力改革の行方をにらみながら、売電方法の変更も検討したい」と話した。東電は「電気料金に含まれる原価は、適正に精査している」とコメントした。

 同様の問題は北海道や長野、富山、三重、京都など二十道府県と金沢市の計二十一の自治体でも起きている。いずれも河川開発の一環として水力発電所を保有し、地域の電力会社に売電している。

 一都四県を合わせた二十六自治体の売電量は計約八十億キロワット時あるが、一一年度の市場取引価格で売却していれば百八十八億〜三百四十八億円も収入が増えていたことになる。

(東京新聞)

 

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