日本原子力発電東海第2原子力発電所(東海村)は東日本大震災の影響で原子炉が自動停止したまま定期検査に入り、31日、11年度の運転実績ゼロが確定した。同社によると、運転開始から33年8カ月が経過した同原発が年度単位で一度も稼働しなかったのは初めて。これを受け、同原発が稼働することで県や東海村に入る「核燃料等取扱税」(核燃料税)などが減少したが、両者は「財政には大きな影響はない」としている。
核燃料税は▽核燃料の挿入▽使用済み燃料の受け入れ▽高放射性廃液の保管▽ガラス固化体の保管▽放射性廃棄物の発生▽放射性廃棄物の保管--に課せられる法定外普通税。
県は震災前の11年2月、11年度当初予算案で13・5億円の収入を計上。しかし、震災以降、同税収の約8割を占める東海第2原発が一度も稼働しなかったため、税収は7・5億円減の約6億円となった。県は「貴重な税収ではあるが、県税に占める割合は0・4%程度で少ない」と話す。
また、13年度には、電源3法交付金のうち県内の消費電力量を上回る量の発電(前々年度分)に対して国から県に交付される「電力移出県等交付金相当部分」もなくなる。
立地自治体の東海村は、県から交付される核燃料税に加え、電力移出県等交付金分も減少する。だが、電源3法交付金は研究部門にも交付され、研究施設が多い村の財政事情は原発のみの他の原発立地自治体と異なる。
村総合政策部の佐藤幸也部長は「東海村は『原発マネー』ではなく『原子力マネー』。(原発停止による減収は)小さくないが、致命的ではない」と話している。【杣谷健太】
毎日新聞 2012年4月1日 地方版