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「ブルドック」堀江奈未
おそらくは初作品かとお見受けします。技術的につたないのは始めのうちは仕方ないことなので、つたないなりによく描かれていると思いました。その上で、技術がない段階では人物の会話など、セリフだけは考え抜いて欲しいと思います。言うことを聞かせる「ブレインハット」というアイデア、それを盗んで悪用しようとする男、どちらも悪くない。でも、いきなり「この帽子かぶってみない?」といわれて「じゃあかぶってみるわ」とすんなり応じる美女、というのはどんな世界観であれリアリティが不足してます。こういう設定だからこそ、紋切り型でない会話を心がけると、作品の精度が上がります。 |
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「不可思議ジェンティ」松井 潤
「月マガ」的ではない、という以外はほぼ完璧な作品。単に「面白い」では片付けられない深みもあり、感情を揺さぶられました。ファンタジー的世界観の話に、架空のどうぶつではなくニホンカモシカを登場させるところ、不良が出てくるところでの意外な展開、ラスト近くの花や蝶のアップのカットなど、すべてが効果をあげています。雑誌が違えば賞を獲得していて当然のクオリティで、高い才能を感じます。 |
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