国防総省の昨年8月の報告書によると、東風21Dは1500キロの射程距離を誇り、西太平洋で空母を含む大型艦艇を攻撃できるよう設計された機動弾頭を備える。国防情報局のバージェス局長は2月16日、中国が東風21Dについて「おそらく配備を準備している」と議会で証言した。
ギルモア局長は声明で、海軍はこれまで東風21Dの模擬ミサイルの研究や開発、取得、生産にまったく予算を割り当ててこなかったと指摘。その上で「ASBMに対抗するため空母や大型輸送艦艇で使用される自衛システム」を含む多数のプログラムで今後、東風21Dの代用となる試験用ミサイルが必要になると警鐘を鳴らした。
海軍は現在、「自衛システムを評価する上でミサイルの試射でなくコンピューターモデルとシミュレーションに頼らざるを得ない」(米議会調査局の海軍アナリスト、ロナルド・オローク氏)状況だが、ギルモア氏は模擬ミサイルがなければASBMを無効化する手段の一部しか試験できないと指摘している。
国防総省は、同盟強化と台頭する中国への対抗を目的にアジア太平洋における米国のプレゼンス強化を求める新戦略を打ち出しており、その下で海軍は中心的な役割を担うとみられている。01~05年に装備評価局長を務めたトム・クリスティ氏は電子メールで「われわれはまたもや海軍に、新しい艦艇や艦艇防衛システムに数十億ドルをつぎ込もうとする一方、実際の検査を実施してこの新たな脅威に対抗できるとの一定の自信を得る能力にわずか数万ドルをかけるのを、依然ためらうことを許している」と苦言を呈した。(ブルームバーグ Tony Capaccio)