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【埼玉】「住民に丁寧な説明を」 県に注文相次ぐ 震災がれき焼却試験
岩手県北部で発生した震災がれきの受け入れに向け、県内三カ所のセメント工場で二十五日に行われた焼却試験。各工場で試験に立ち会った自治会役員や住民からは「被災地復興のために受け入れを」と賛同する声が上がる一方、「県は住民に丁寧に説明を」との注文も相次いだ。 (宮本隆康、上田融、羽物一隆) 熊谷市の太平洋セメント熊谷工場では七十四人が試験に立ち会い、同市のほか、隣接する深谷市の自治会役員らも参加した。 木くず入りのコンテナを積んだトラックが到着した後、県職員がコンテナ周辺や木くず置き場の空間放射線量を測定。いずれも県が安全基準とする数値を大きく下回った。 熊谷市三尻地区の自治会役員中村吉宏さん(68)は「受け入れ反対の声に引きずられて、復興が進まなくなるのは心配。この数値を住民に説明すれば、受け入れに協力する方向に進むのでは」と話した。 立会人からは「離れた地区でも不安の声がある。誰でも参加できる住民説明会の開催を」「工場周辺だけでなく、遠い地区の小学校付近などの放射線量も測定して」などと県に求める声が出た。 日高市の太平洋セメント埼玉工場では、大沢幸夫日高市長ら三十九人が立ち会った。木くず入りコンテナ外側の空間放射線量の測定で、基準値を下回る数値が示されると、立会人から「おー」という声が漏れ、大沢市長は大きくうなずいた。 自治会役員の男性(75)は「大丈夫とは思っていたが確認できてよかった。復興のために受け入れは必要」と笑顔を見せた。放射能汚染問題に取り組む市内の市民グループの女性(42)は「受け入れに絶対反対ではないが、一般市民に十分な説明がほしい」と話した。 横瀬町の三菱マテリアル横瀬工場では、一般公募の八人を含む計三十九人が立ち会った。県職員による線量測定の様子を見守ったり、持参した測定機を木くずに近づけて問題がないか確認した。 立会人からは、町内の線量測定地点の増加を求める意見などが出た。公募で参加した音楽教室講師の佐野淳子さん(53)は「心配がないわけではないが、見た限りでは精いっぱいのことをやっていると感じた。公開する姿勢を今後も続けてほしい」と話した。 PR情報
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