2012年2月1日 21時41分 更新:2月1日 22時35分
【ブリュッセル斎藤義彦】欧州連合(EU)の内閣にあたる欧州委員会は1日、ニューヨーク証券取引所を傘下に持つ米NYSEユーロネクストと、ドイツ証券取引所が昨年6月に申請していた合併計画を承認しないことを決めた。欧州でのデリバティブ(金融派生商品)取引の市場占有率が90%を超え、「競争を阻害する」ことが理由としている。両取引所は1日、合併合意を解消する考えを表明。世界最大の証券取引所グループを目指した合併計画は破談となる。
欧州市場では、ドイツ取引所は「ユーレックス」、NYSEはロンドン国際金融先物取引所(LIFFE)をデリバティブ部門の傘下に抱え、両取引所を合わせた欧州でのシェアは9割を超え、独占状態にある。
欧米メディアによると、EU側はデリバティブ事業の売却や縮小などを求めたが、両取引所は「合併が利用者の利益になる」などと反論。大幅な計画修正には応じなかったため、EU側は合併を承認しないとの結論に至った。アルムニア委員(競争政策担当)は「独占は利用者のコスト増を招き、認められない」と述べた。
両取引所は昨年2月に合併計画を発表。双方の株主や米証券取引委員会(SEC)の承認をすでに得ており、欧州委による審査が最後の関門となっていた。