【ワシントン白戸圭一】1月にモスクワに着任した米国のマクフォール駐ロシア大使の電話が、ロシアの情報機関に盗聴された可能性が浮上し、米政府が懸念を強めている。盗聴を裏付ける証拠はないものの、米国務省が大使の安全に懸念を表明して事実関係の調査を求めるなど米露間の外交問題に発展しそうな気配だ。
発端はマクフォール大使が29日、簡易ブログ「ツイッター」で、ロシアの政府系テレビNTVの記者が大使の非公開の訪問先で必ず待ち構えている実態を暴露したこと。大使がロシアの人権活動家と電話で面会を約束した際には、NTV記者が面会場所で待ち構えていたという。
大使はツイッターで「記者が誰から私のスケジュール表を受け取っているかに関心がある」と述べ、NTVが電話を盗聴したロシア情報機関から情報を提供されている可能性を示唆した。
ロシアでは最近、日本大使館の公使が著名な人権活動家とモスクワ市内の飲食店で会談している様子が何者かに盗撮され、映像が動画投稿サイト「ユーチューブ」やNTVの番組で放映される騒ぎがあったばかり。
米国務省のトナー副報道官は30日の記者会見で「マクフォール氏の(1月の)着任以降続いている数々の事件は、大使の安全に懸念を抱かせるものだ」と述べた上で、ロシア政府に事実関係の調査を求めたことを明らかにした。
毎日新聞 2012年3月31日 10時44分(最終更新 3月31日 11時07分)
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