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首都直下地震 文科省想定 揺れ分布図公表

2012年3月31日 07時05分

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 文部科学省は三十日、東京二十三区東部や川崎市などが最大で震度7の揺れに襲われる、とする新しい首都直下地震の震度予測地図を公表した。これまでの国の想定では、二十三区内は震度6強が最大としていたが、最新の研究成果に基づいて計算し直した。

 震度6強では耐震性の低い木造住宅の多くが倒れるが、震度7では耐震性の低い鉄筋コンクリート建物も倒壊することが多くなるとされる。揺れが一段と強まることで、被害想定や防災計画も変更を迫られそうだ。

 中央防災会議は二〇〇五年、東京湾の地下三十〜四十キロでM7・3の地震(東京湾北部地震)が発生すると仮定。東京都の荒川周辺と湾岸地域、千葉県や神奈川県の一部で震度6強を予想していた。

 今回、文科省の委託を受けて東大などが地震計で首都圏の地下を調べたところ、東京湾北部地震を起こすと考えられるプレート(岩板)の境目の位置が、想定より十キロ浅い地下二十〜三十キロと判明。断層が浅くなると震度が大きくなるため、揺れを計算し直した。

 その結果、荒川沿いの江東区や江戸川区、多摩川沿いの大田区や川崎市などの一部で震度7となった。また震度6強の地域も二倍近い面積に広がり、二十三区のほぼ全域と川崎市、横浜市の一部に及んだ。文科省は具体的な自治体名を明言していないが、地図から読み取れる。

 計算を担当した東京大地震研究所の纐纈(こうけつ)一起教授は「仮定に仮定を重ねた試算。計算の条件を少し変えると震度7が予測される場所は変化する。今回の結果で震度7が予想された場所だけでなく、南関東のどこでも強い揺れに備えてほしい」と話している。

 国の中央防災会議や都はこの結果などを基に、一二年度中にも想定や対策を見直す。現在の被害想定は最悪で死者一万千人、建物の倒壊・焼失が八十五万棟だが、さらに厳しい数字となることが予想される。

(東京新聞)

 

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