CMを規制する法律など

7.広告を規制する法律など

  広告そのものについてまとまったいわゆる「広告法」は存在しません。しかし、さまざまな法令と  業界の自主基準などによって、その規制はかなり広範に及んでいます。

  規制を大別すると、@法律などによる法的規制と、A業界団体による自主規制があり、その中間にB公正競争規約があります。 また、直接的な規制ではありませんが、CMを放送した後の、C世論や消費者の反応を大切に考えなくてはなりません。予期しない世論の反響や消費者問題が発生することがあります。たとえ、法令や公正競争規約、自主基準などに抵触しないと判断された広告であっても、「消費者の保護」が最優先です。CMの差し替えや中止など、放送局は広告主や広告会社とともに、誠意をもって情報を公開し、問題の解決に努めなければなりません。

@法律などによる法的規制 
  どの業種にも共通に適用される「一般法規」と、業種別に適用される「個別法規」があります。「一般法規」で、広告規制で最も代表的なものは「景品表示法」です。「個別法規」は、薬事法・特定商取引法・貸金業規制法・公職選挙法・風俗営業法などで、業種別にさまざまな広告が規制を受けています。

A業界団体による自主規制
  業界の自主規制には製品やサービスが国民の健康・保健・福祉などに関して社会的影響力が強い業種にみられる自主基準です。製薬・化粧品・消費者金融など、法の補完としての役割をもつものもあれば、法規制を回避するための予防的な意味をもつものもあります。たばこメーカーが消費者の健康保持の観点からテレビCMを自粛したり、アルコールメーカーもアルコール問題から露出時間帯を限定したり、単に、広告表現だけではなく、放送時間帯や露出量を制限しているものもあります。 
   自主規制をする広告関係団体としては(社)日本広告主協会(JAA)、(社)日本広告業協会(JAAA),(社)日本広告審査機構(JARO)などがありますが、いずれも広告のもつ社会的な意義を明確にし、虚偽・誇大・不当表示を禁止して、消費者の信頼に応えることを求めています。

B公正競争規約 
  公正競争規約は、事業者または事業者団体が「不当な顧客の誘引を防止し、公正な競争を確保するため」に「不当景品類及び不当表示防止法」の第10条により、業界ごとに公正取引委員会と第三者を交えて公正競争のために作られたルールです。違反すると背景にある独禁法による取締を受けるため、法律と似た効力を発揮します。非加盟の業者に対しても、公正取引委員会は、その規約の内容を「業界の正常な商慣習」と解釈して規制に乗り出すことができます。この運用機関として業界ごとの公正取引協議会が設けられています。2006年1月4日現在で、表示に関する規約65件、景品の規約40件、合計105件が存在しています。

C世論・消費者問題
  これは広告を規制する法規ではありませんが、広告主はもちろん放送局も、CMを放送した後の、世論や消費者の反応を大切に考えなくてはなりません。広告の露出後、送り手側の製作意図が的確に伝わらずに、予期しない世論の反響や消費者問題が発生することがあります。たとえ、法令や公正競争規約、自主基準などに抵触しないと判断された広告であっても、「消費者の保護」が最優先です。C Mの差し替えや中止など、放送局は広告主や広告会社とともに、誠意をもって情報を公開し、問題の解決に努めなければなりません。