2.CM考査のすすめ方
(1) 新規の広告主の場合は、最初に業態考査が必要です。
消費者保護の観点などから問題がないかをチェックすることが最も重
要です。放送基準が取り扱わない」業種・商品・サービスと指定している
業態(後述)は厳格な審査が必要です。日本民間放送連盟放送基準に
基づき、取り扱わない企業・商法・商品として、民放連営業委員会は、
『テレビ営業の基礎知識』に以下のような例を挙げています。
@ 視聴者に健康上・財産上の被害、損害を与えるおそれのあるもの
・ 医薬品まがいもしくは好ましくない健康食品
・ 不法な金融・投資
・ 先物取引商品
・ ネズミ講、マルチ商法
A 明らかに法律違反または社会の公序良俗を損なうと判断されるもの
・ 性的、暴力的出版物・映画・音楽
・ 霊感商法
・ 一部の新興宗教
B 人権を侵害するおそれのあるもの
・ 探偵業・興信所・信用調査機関
・ 結婚相談所
C 政治的、社会的事件と関与し、視聴者に被害・損害を与えるおそれの
あるもの
D 自然破壊、環境公害を発生するおそれのあるもの
(2) 放送基準でCMの表現をチェックします。
視聴者(消費者)保護の観点から、以下については慎重な対処が注意が
必要です。
@ 社会に悪い影響を及ぼすことがないようにする。
・事件、事故、災害を連想させない。
・子どもへの悪影響(犯罪、事故、いじめ、暴力、性的描写など)。
・わいせつ、セクシーな声・場面、卑猥な言葉。
・占い、迷信。
A 慎重な配慮をするもの。
・エネルギーや係争中の問題。
・人権、差別、身障者、職業、身上、人種、被害者
・恐怖感、イライラ、迷惑、気持ちが悪くなるなどの不愉快な表現をしな
い。
・事実であっても他をひぼう・中傷してはならない。
B 伝統や文化を大切にする
・正しい日本語を使う。
・暴言やマナー違反は認めない。
・外交や国際関係を扱った表現。
C 法規・社会規範などとの整合性
・事故誘発、子供のまね、危険行為
・選挙の事前運動
・多くの人が結果的に誤認するような表現。
・病気や健康に関する事柄。
(3) 該当する法律を調べて、放送基準のダブルチェックを行います。
法律による規制を示すことで、考査の論拠がより一層明確になります。
(4) 各業界の自主規制(後述)により判断します。
(5) 各業界の公正競争規約(後述)により判断します。
(6) 各放送局の諸内規・ガイドラインなどにより判断をします。
例:原子力発電、消費者金融、エステティックサロンなど
(7) 生命・健康・財産に関するものは、視聴者保護の立場から
慎重に対応します。
例:医療、医薬品、健康食品、化粧品、金融商品、不動産など
(8) スポンサー間の対応を平等にし、判断の公正を保つようにつとめます。
(9) 不適切なCM表現は改稿を要請し、改善されないものは謝絶します。
営業部、編成部などと見解が異なる場合は、協議して、合意点を導きだす
ようにします。コンプライアンス遵守が原則です。いかなる営業上の理由が
あっても、法令や放送基準に違反することはできません。
◎具体的なCM表現のチェックについては、必ず放送用のCMデータが搬
入される前に、企画や原稿の段階で考査を行う必要があります。また、
考査にかかる時間を確保するために、必要な日数を予めルール化して、
関係者に周知徹底しておくべきでしょう。