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証拠捏造:容疑の警部ら大阪府警が書類送検

 大阪府警福島署で昨年、未解決の強盗強姦(ごうかん)事件の証拠品のたばこの吸い殻を刑事課長だった警部(55)らが捏造(ねつぞう)した事件で、府警は29日、この警部と部下だった警部補(45)を証拠隠滅と虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで大阪地検に書類送検した。府警はこの日、警部を停職3カ月、警部補を減給(10分の1)1カ月の懲戒処分にし、警部は依願退職した。

 送検容疑は昨年7月、吸い殻の紛失に気付いていたのに証拠品点検簿に「異状なし」と記載し、翌月に警部の家族から入手した無関係の吸い殻を加工して証拠品として捏造した、としている。府警本部が実施する証拠品監査を免れるためだった。当初は調べに対し「吸い殻はバス停で拾った」と述べていた。

 府警によると、吸い殻は事件発生直後の03年3月に府警科学捜査研究所に血液型鑑定に出され、同年6月の返却直後になくなったとみられる。鑑定の際に吸い殻のフィルター部分が切られており、警部らは捏造に使った吸い殻のフィルターも切って形を似せていた。

 警部は毎日新聞の取材に対し、「上司に報告すれば面倒なことになると考えた。証拠を作ることと、どちらが面倒になるか天びんにかけ、証拠を作ることを選んでしまった」と胸の内を明かした。背景には、事件が約8年間未解決で、証拠品の照合作業がなく、監査をすり抜けてきたことがあるという。

 しかし、事件が突然解決に向けて動き出し、警部は自ら捏造を申告した。「事件はもう解決しないと思っていた。自分が横着だった。自分で責任を取ればいいと考えていたが、(辞めても)何の信頼回復にもならない。あほなことをしてしまった」と後悔をにじませて語った。

 結局、事件は29日、容疑者が起訴されたが、現場の遺留指紋が決め手となり、大阪地検は吸い殻がなくても立証可能と判断した。【稲垣淳、三上健太郎】

毎日新聞 2012年3月30日 3時00分

 

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