［地方］【大阪地検犯人隠避】特捜部最強の自負を「病弊」と断罪　元特捜トップ「結論ありき」＋（1/2ページ）（2012.3.30 22:45）

　起訴した以上、負けは許されない－。特捜部が誇った「最強」の自負を、判決は「組織の病弊」と断じた。大阪地検特捜部の押収資料改竄（かいざん）・犯人隠避事件で大阪地裁は３０日、元特捜部長の大坪弘道被告（５８）と元副部長の佐賀元明被告（５１）に「組織防衛のため、改竄をもみ消した」と有罪を言い渡し、返す刀で「特捜部の体質が生み出した犯行だ」と組織そのものを切り捨てた。特捜のプライドを体現してきた元トップは硬い表情で判決を聞き「納得いかない。結論ありきだ」と批判した。

　大坪被告と佐賀被告はそれぞれダークスーツ姿で入廷。席に座って互いに会釈すると、裁判官に促され、並んで証言台に立った。

　「被告を懲役１年６月に処する。３年間、その刑の執行を猶予する」。主文が読み上げられた瞬間、大坪被告は小刻みに肩を揺らし、何度もうなずいた。佐賀被告は表情一つ変えず、席に戻るとすぐにペンを取り出し、判決のポイントをメモに書きつけた。

　「特捜部に失敗は許されない。起訴した以上は必ず勝ち、確実に迅速に、有罪を得る」

　２人の公判に証人出廷した元主任検事、前田恒彦受刑者（４４）＝実刑確定＝は、改竄の動機をこう述べた。厚生労働省元局長、村木厚子さん（５６）＝無罪確定＝を逮捕した郵便不正事件で“勝利”を盤石にするため、見立てに合わないフロッピーディスクのデータを書き換えたのだ。