【東京聯合ニュース】日本の野田佳彦首相は26日、ソウルで開催される核安全保障サミット(26〜27日)を前に、東京駐在韓国特派員団との書面インタビューに応じた。
東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、「原発事業者との間では、平時は、規制当局として法令に基づき事業者をしっかりと監督することをはじめ、意思の疎通を行いながらも一定の緊張感を持つことが重要だ」と強調した。
また、有事の際に、必要な初動対応を官民が迅速かつ的確に行えるような実践的な訓練を行うことが必要だとの考えも示した。
以下は一問一答。
野田首相(資料写真)=(EPA=聯合ニュース)
――ソウル核安全保障サミットの核心アジェンダとして何を取り上げなければならないか。韓国国民へのメッセージは。
「第2回ソウル核安全保障サミットは、東京電力福島第一原発事故から約1年という節目に開催される。原子力災害から得た知見と教訓を共有しつつ、核セキュリティ強化への決意を改めて示したいと思う」
「まずは、この原発事故を経験した国として、原子力施設の防護、緊急事態が生じた際の即応行動について、それらの改善に向けた、我が国の取組を紹介したい。また、核セキュリティを強化するためには、関係するすべての国が密接に連携することが不可欠で、特に、隣国同士である日韓両国の協力は重要だ。韓国がこのサミットをホストし、国際協力にリーダーシップを発揮していることに心から敬意を表する。わが国としても、本サミットの成功のため、全面的に協力する」
――福島第1原発事故の教訓は何か。最近韓国(釜山の古里原発1号機)でも電源喪失を1カ月間報告しなかった事態が明らかになったが、原発事業者をきちんとコントロールするために何が必要か。
「事故調査・検証委員会等での作業は継続しているが、現段階で、さまざまな経緯と教訓が明らかになっている。非常用の電源やポンプが、津波で水没するような場所に設置されるべきでなかった。また、実際に炉心損傷に至る過酷事故を想定した準備も不十分だった(そのためベントの作業に手間取り、貴重な時間を失った)」
「本格的な事故原因の究明は今後も続くが、既に判明している『過ち』とそこから導かれる『教訓』に基づき、緊急安全対策やシビアアクシデント対策等を実施している。加えて、いわゆる『ストレステスト』により、安全性を確認していく。こうした対応を進めていることから、今後、同じような震災が起こったとしても、前回と同じような事態が生じることはないと考えている」
――日本国内の原発の新規建設と原発の海外輸出に対する見解は。
「原子力発電所の新増設については、現状では困難な状況と考えている。他方、建設中の原子力発電所等については、進捗(しんちょく)状況もさまざまであり、立地地域の方々のご意見も踏まえながら、個別の事案に応じて検討していく必要があると考えている」
「原発の海外輸出については、諸外国が希望する場合には、相手国の事情を見極めつつ、核不拡散・平和的利用等を確保しながら、高い水準の安全性を有する原発を提供するなど、原子力協力を行っていくことには基本的な意義があるものと考える。このため、政府としては、原子力協定の枠組みを整備するかどうかについて、核不拡散の観点や、相手国の原子力政策、相手国の日本への信頼と期待、2国間関係等を総合的に踏まえて、個別に検討していくこととなる。もちろん、個別の商談については、一義的にはそれぞれの企業の判断となる」
――福島原発事故にもかかわらず中国と韓国は原発を増やしていこうとする姿勢を見せている。原発事故は自国のみならず周りの国にも大きな影響を及ぼす可能性がある。韓日中3国がどのような取り組みをすべきか。
「東京電力福島第一原発事故の徹底検証から得られる知見と教訓を共有し、国際的な原子力安全の強化に貢献していくことは、我が国が果たすべき責務であると考えている。こうした観点から、昨年5月の日中韓サミットでは、情報の共有や、協議の促進などを通じて、原子力安全に関する3国間協力を推進することで一致した。既に事務レベルでは、緊急時対応の強化に向けた具体的な協力について議論が始まっている。引き続き、本分野における3国間協力を推進していく考えだ」
――北朝鮮の核問題に対してどのように対処しなければならないか。また、北朝鮮が最近長距離弾道ミサイル発射実験とみられる衛星打ち上げを予告したことに対してどのように考えているか。
「北朝鮮によるウラン濃縮活動を含む核・ミサイル開発の継続は、6カ国協議共同声明および国連安保理決議違反であり、わが国を含む国際社会全体の平和と安全に対する脅威だ。わが国として、引き続き韓国や米国をはじめとする関係国と緊密に連携しつつ、国連安保理決議やわが国独自の判断に基づく貿易制限措置などを通じ、北朝鮮に対し、非核化のための具体的行動を求めてく」
「北朝鮮が16日に予告した『人工衛星』と称するミサイルの発射は、明らかに国連安保理決議違反で、地域の平和と安定を損なう恐れがあり、強行されれば遺憾だ。また、対話を通じた諸問題の解決に向けた取組を後退させるものと深く懸念する。わが国としては、韓国や米国を含む関係国と声をそろえて、北朝鮮が発射を行わないよう、強く自制を求めるとともに、関係国との緊密な連携・協力の下、冷静かつ適切な対応をとっていく考えだ」
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