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ユニクロを超える!? 激安衣料「ジーユー」の“銀座戦略”

nikkei TRENDYnet 3月30日(金)11時0分配信

ユニクロを超える!? 激安衣料「ジーユー」の“銀座戦略”
ファーストリテイリンググループのジーユーは2012年3月30日、日本最大級の旗艦店「g.u.(ジーユー)銀座店」をユニクロ銀座店跡地にオープンする。旗艦店は2010年オープンの心斎橋店、11年オープンの池袋東口店に次ぐ3店舗目となる。
 2012年3月30日、東京・銀座に低価格衣料店「g.u.(ジーユー)銀座店」がオープンした。旧ユニクロ銀座店の跡地に出店し、売り場面積は約450坪。ジーユーの旗艦店としては3店舗目で、都内最大規模を誇る。

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 ユニクロを代表とするファーストリテイリンググループの低価格業態「ジーユー」は2006年10月、ダイエー南行徳店に1号店をオープン。量販店の衣料品売り場改革の切り札として誕生した。しかし、価格やデザインが中途半端で訴求力に弱く、スタート当初から苦戦を強いられた。そこで抜本的な改革を行い、新体制で打ち出したのが、低価格ジーンズの火付け役となった990円ジーンズだ。以降、衝撃的な価格の新商品を相次ぎ発表し、ジーユーの名前も知れ渡るようになった。

 旗艦店は2010年、ユニクロ心斎橋店の移転に伴い、後継店として約500坪の店舗をオープン。11年には、東京・池袋に都内初の旗艦店「池袋東口店」を出店し、ここ数年は郊外のロードサイド、ショッピングセンターだけでなく、都市部への出店を加速している(郊外激安衣料店の都心進出についてはこちらを参照)。

 銀座への出店について、ジーユーの柚木 治社長は「銀座はいまやあらゆる人が集まり、全国レベルで知名度を高めていける場。その最高の立地にジーユーの集大成となる店舗をオープンした。銀座で成功して必ず世界への挑戦権をつかみたい」と、意欲を語った。

 高品質、高機能のベーシックウエアを追求するユニクロに対して、ジーユーはトレンドファッションを“市場最低価格”で提供するのがウリ。商品開発から売り場づくり、店舗運営までユニクロとは異なる戦略を展開してきた。ここではその集大成となる銀座店でのさまざまな取り組みを見ていきたい。

全身で5000円以下!?  銀座で驚きの“市場最低価格”打ち出す

 ジーユーといえば、990円のジーンズやフリースアウター、490円のプリントTシャツなど、激安価格が一番の特徴だ。今春のいち押し商品でいえば、ゆったりしたシルエットのゆるパンが990円(オープン価格790円)、エアリーブラウスが1490円(同1290円)、メンズの7分袖ダンガリーシャツが1490円(990円)など、全身そろえても3000円〜5000円台で旬のアイテムが手に入る。価格はユニクロの半値程度で「市場最低価格」を標榜。同じ低価格業態の「しまむら」と比べても価格の安さでは負けていない。

 銀座にはH&Mやフォーエバー21、ZARA、GAPといった人気のファストファッションが集積し、ここ数年で低価格化が一気に進んだ。そのなかでも、ジーユーの激安ぶりは突出している。これまで郊外立地で展開してきた激安衣料店の価格帯をそのまま銀座に持ち込むわけだから、周辺店舗にも少なからず影響を与えるだろう。

 トレンドファッションを追求しているのも、ジーユーの特徴。しかも品番数を350(オープン時)まで絞り込んでいる。通常、トレンドファッションを販売する店舗では幅広い品ぞろえが強みになるが、「いろいろあるよりも、ファッションに敏感な女性が一番欲しいと思うトレンドど真ん中の商品が豊富にあれば、幅広い層に売れる。それが、結果的に買いやすい売り場になる」(柚木社長)という。

 さらに、銀座店では新たな取り組みとして、販売員によるファッションアドバイスサービスをスタートする。おしゃれに敏感な6名の販売スタッフを「おしゃリスタ」として配置。セルフ販売が基本だが、顧客の要望に応じて、おすすめ商品や着こなしのアドバイスを行う。商品単価が低いぶん、セット販売率を高めることで、客単価を上げる戦略でもある。同店の上田 豊店長は「既存店舗より高い3000〜3500円の客単価をめざす」と話す。売り場でも新什器を使ってコーディネートを提案。上下のラックにそれぞれ組み合わせるアイテムを陳列し、ひと目で着こなしがわかるように工夫されている。

圧倒的店頭在庫とトレンド満載の売り場は、ユニクロ銀座店と対照的

 ジーユー銀座店は、1〜2階がウィメンズのファッションフロア、3階がウィメンズのルーム&ランジェリーとキッズフロア、4階がウィメンズとメンズのスポーツフロア、5階がメンズのファッションフロアで構成。商品構成比ではウィメンズ約6割強、メンズ約3割強で、キッズは都心部初の取り扱いとなる。

 店に入ってまず驚いたのは、店頭在庫の多さ。天井近くまである高い什器には、可能な限りの商品をハンガーに掛けて陳列。メイン通路以外はどこも狭く、ワンフロアに最大限可能な在庫を並べている。この理由については次ページで説明するが、先日オープンしたユニクロ銀座店の開放感あるすっきりとした陳列とは対照的だ。

 商品のテイストは、かなり若い印象。1、2階のウィメンズフロアには、今注目という“ブロガーファッション”(ファッションブロガーに人気のゆる系ファッション)がズラリと並ぶ。ゆるパンやショートパンツ、シフォン素材のジャケットなど20代の女性をターゲットにした最先端のトレンドアイテムが大半だ。「トレンド商品は年齢に関係なく売れる」という柚木社長の分析は正しいかもしれないが、実際に上下セットで購入するとなると20代〜30代前半が多数を占めるだろう。一方、スポーツウエアやインナーウエアはエイジレスで売れそうな商品が充実。価格の安さとデザイン性では、ユニクロの商品を凌ぐパワーがある。

 衣料以外のアイテムが豊富なのも見逃せない。4階スポーツウエアのフロアでは、銀座店先行販売商品として、パッケージ入りのスイムウエアを展開。ウィメンズ用のスカート付きビキニが1990円、メンズのボードショーツは990円という破格値で販売する。また、2階にはネックレス、ブレスレットなどのアクセサリーと、シュシュなどのヘアアクセサリーを500円以下で展開。ベーシックアイテム中心のユニクロとは異なり、「ジーユー=トレンドファッション」という印象を強く受けるラインアップだ。

銀座店でも郊外仕込みの「高効率運営」を徹底

 これまでジーユーは、売り場運営の効率化によるローコストオペレーションを徹底してきた。しかし、「賃料も日本一」(柚木社長)の銀座店を成功させるとなると、さらなる効率化が求められる。そこで、銀座店では新しい取り組みが行われている。

 例えば、今回開発した新什器は上下でコーディネート提案が可能なタイプ。商品の丈によって高さが変更できるほか、キャスター付きの可動式なので、レイアウトも自在に変更できる。「通常は売り場で品出し作業を行うが、可動什器なので銀座店ではバックヤードでの補充が可能になった。スタッフの作業効率が上がり、心斎橋店と同じ人数でも高い売り上げを上げられる」(上田店長)。

 またレジカウンター前にはハンガーストッカーを配置。顧客自身がハンガーをかけることで回収作業の手間を省くほか、過去最大数のレジを設置し、レジでの効率化を図る。ワンフロアの平均従業員数は約10人。旧ユニクロ銀座店の半数ほどの人員で、ユニクロと同程度の営業利益率をめざしている。

 ジーユーの2012年上期売上高は、既存店ベースで前年比20%増、全店ベースでは同80%増と好調に推移。中期目標の売上高500億円を1年前倒しで達成する見込みだ。「1号店オープンからわずか6年で500億円突破したのは、ユニクロをも上回るスピード」と柚木社長も胸を張る。来期以降は毎年60店舗を出店し、旗艦店も10店舗以上出店するという。いずれはユニクロと並ぶ中核ブランドをめざし、2014年をめどに海外1号店を出店する予定だ。その試金石となるジーユー銀座店。成功するか否かは、さらなる認知度アップと売り場の効率化にかかっている。

(文・写真/橋長初代)


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最終更新:3月30日(金)11時0分

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