長女がまたインターン(職業実習)を始めた。これで5度目だ。今回は渋谷にあるドイツ企業で半年間。学生としての籍はベルリン自由大学に置いてある。
つまり、もう24歳なのに、まだ大学の学士課程さえ卒業していない。いい加減にしてほしいと思うが、彼女の友達を見渡しても、男も女もまだ一人として就職している人間はいない。ドイツの大学生の平均年齢はどんどん上がる一方で、この子たちがお金を稼いでくれるのは、いったいいつのことだろうかとうんざりだ。
しかし、文句を言いかける私に向かって長女は、「ママ、ちゃんとしたインターンをいくつか経験していないと、今どき、どこにも就職はできないのよ」と断固たる口調。「理系は学生が足りないから売り手市場だけど、日本学なんて勉強した人は、とてもヤバいの」だそうだ。そう言われてみれば、源氏物語など読めても、たしかにあまり就職の役には立ちそうにはない。
ただ、この調子だと、結婚年齢は上がり、出産年齢も上がる(結婚も出産も、万が一すればの話だが)。ドイツでは、これから順次、年金支給年齢が67歳に引き上げられるが、働き始めるのがどんどん遅くなるなら、せめて67歳まで働かないと、年金を支払う人がいなくなるだろう。
日本の企業は、企業のカラーに染めやすいよう、なるべく白紙の、いろいろな意味で未経験の若者を取りたがると聞いた。それに比べてドイツの企業は、社会的能力があり、即戦力になる人間を求めている。
つまり、「私はこんなことが出来る」と言えなければ、就職は難しい。元々ドイツの職人の世界には、徒弟制度という修行の伝統がある。それが今では他の職種にも拡大し、大学生も皆、インターンという名の修行に励んでいるわけだ。そして、最終的に、そのインターン経験に物を言わせて就職先を探す。
つまり、良い企業に就職しようと思っている学生が、良い企業でなるべく多くインターン経験を積もうと励むのは、道理に適っている。インターン先で書いてもらった査定内容は信ぴょう性が高く、重視される。
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