BNPパリバ・河野氏起用に異論も-日銀審議委員で民主部門会議(1)
3月29日(ブルームバーグ):政府が国会に提示した日本銀行の審議委員にBNPパリバ証券のチーフエコノミスト、河野龍太郎氏を充てる人事案に対し、民主党内から異論が出ている。29日午前の財務金融部門会議で複数の議員から反対意見が出た。会議に人事案の賛否を決定する権限はないが、前原誠司政調会長は午後の会見で、河野氏の同意人事への対応について「コメントを控えたい」と述べるにとどめた。
会議の模様は出席した網屋信介、宮崎岳志両衆院議員が明らかにした。このうち、宮崎氏は日銀審議委員にはインフレターゲット政策に積極的な人物を起用するよう求めてきた「円高・欧州危機等対応研究会」の事務局長。
宮崎氏によると、会議では同研究会会長の小沢鋭仁元環境相が河野氏の起用は金融緩和にやや逆行している感があり、基本的には賛成しかねると発言。同研究会幹事長の馬淵澄夫元国土交通相も疑問を投げ掛けた。このほか、国会同意人事について政府が一方的に名前を挙げてきて与党だから反対できないというのはおかしいので手続きの明確化が必要だ、との意見も出たという。
宮崎氏は記者団に対し、「ほぼ発言者の全員が反対だ、積極的にこの人がいいという意見、消極的に容認すべきだという意見は出なかった」と指摘。網屋氏も「一番多かった意見は、今後、消費税を上げることに関してはデフレ脱却ということが大きな筋になるが、今回の候補になる方がそういった方面で同じ方向を見ていろんな提言をされているのかどうかについて疑問が出たとは確か」と語った。
前原氏は会見で、河野氏の同意人事への対応については同日開かれた政調幹部会で議論し、自らに一任されたことも明らかにした。
河野氏は4月4日に任期切れとなる日本銀行の中村清次審議委員の後任として、今月23日に衆参両院に提示された。審議委員の任命には衆参両院の同意が必要で、任期は5年間。
河野氏起用については自民党内でも山本幸三衆院議員が23日、河野氏について「量的緩和やインフレ目標政策に否定的な人だから、自民党は反対しなければいけない。参院で否決すべきである」と表明。同党の財務金融部会長で「シャドウ・キャビネット(影の内閣)」財務相を務める西村康稔衆院議員も「反対の声が出ているので、慎重に検討したい」と語っている。
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更新日時: 2012/03/29 18:29 JST