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志木市立市民病院:小児科入院医療休止で揺れる 来月休止、一転撤回 秋以降見通し立たず /埼玉

 志木市立市民病院(同市上宗岡)が、小児科の入院医療休止問題をめぐり揺れている。長沼明市長がいったんは経営難を理由として4月からの休止を発表したが、その後方針を撤回し秋ごろまでは入院患者を受け入れることになった。しかし受け入れ患者数は半減しそうなうえ、秋以降の見通しは立っていない。赤字経営の改善策として、市は公設民営化などの経営改革を検討しているが、こちらも具体的な道筋は不透明だ。【高木昭午】

 市民病院は79年開院。内科、外科などを有し、病床数は100床。このうち小児科は45床で、救急患者を引き受け年間にのべ約1万2000人を入院させてきた。

 長沼市長は1月に休止方針を表明した際、小児科の年間赤字額が約1億6000万円に上ることを挙げた。市によると、小児入院患者の約8割が新座、朝霞、和光、富士見、ふじみ野の5市と三芳町の患者だという。長沼市長は「周辺70万人の小児救急を、人口7万人の志木市が担うのはつらい」とも述べた。

 休止に反対する6市町の首長は3日後、「応分の負担をするので入院医療の継続を」と要請。長沼市長は、3月末で退職が決まっていた清水久志院長ら小児科医3人を慰留し、4月から半年程度は、院長は非常勤、他の2医師は常勤として病院に残ることになった。

 1月の段階で、市民病院の後を受け小児入院医療に名乗りを上げたのが「菅野病院」(和光市)だった。しかし同病院は条件として、志木市など4市に年約1億円の財政支援を要請。4市は難色を示し菅野病院は小児医療を断念した。子供の入院先確保は再び志木市の肩にかかった。

 市が3月定例議会に提出した来年度病院予算では、小児入院を9月まで続け、10月から休止することになっている。長沼市長は秋以降について「予算とは別に、入院医療継続に努力する」と話すにとどまっている。

 清水院長は毎日新聞の取材に対し「4月には非常勤医師や看護師の一部が退職し、今の小児科45床が実質20床程度になるのは避けられない。私や他の2医師が残るのは長くて9月まで。その後の見通しはない」と話す。

 一方、病院の赤字体質の改善について、市は2月、外部識者らによる「市民病院改革委員会」を設置。特定の大学名をあげた付属病院化案なども出されたが、2月の最終報告書では、運営を民間法人に委ねる公設民営化か、独立の法人格を与える地方独立行政法人化すべきだとの提案になった。市は3月、庁内にチームを設けて検討を始めたが、結論を出す時期は明示していない。【高木昭午】

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 ◆小児科入院医療休止問題の経過

 <1月>

16日 志木市の長沼明市長が小児科入院医療の4月からの休止を発表

19日 周辺6市町長が長沼市長に入院医療継続を要望

25日 長沼市長が3小児科医について「(当面は)慰留したい」と発言

26日 志木市や市民病院の話し合いで、4月以降も数カ月は小児入院医療を続け、菅野病院が引き継ぐことで合意

30日 長沼市長が「小児科入院は8月ごろまでで休止」と発表

 <2月>

 8日 志木市「市民病院改革委員会」第1回会合。長隆委員長は会合後に「9月以降も市民病院での小児科入院医療の継続を求める」と発言

14日 菅野病院が志木市など4市に対し、小児医療引き継ぎの条件として「年間に合計で1億円程度の財政支援」を要望

16日 長・改革委委員長が「市民病院を日本大医学部の付属病院に」「小児科医12人、産婦人科医5人を置く」などを求める委員長試案を公表

20日 菅野病院が小児医療開始を断念

24日 改革委が最終報告書を公表。「小児救急を崩壊させないため適切な診療体制(病床数)が必要」と指摘。病院の公設民営化や独立行政法人化を提案。日本大の名には委員の反対で言及せず

 <3月>

 8日 長沼市長が、公設民営化か地方独立行政法人化を行う方針を公表

毎日新聞 2012年3月30日 地方版

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