世界大手の工作機械メーカー、ヤマザキマザック(愛知県大口町)の中国人社員による設計図面のデータ流出事件で、不正競争防止法違反容疑で逮捕された唐博容疑者(31)が、機械部品の設計図面を「複数方向から取得していた」と供述していることが分かった。唐容疑者は「販売の勉強のため」と説明しているが、機械部品の構造を正確に把握して、実際に組み立てられるように持ち出していた疑いが強い。捜査関係者が明らかにした。
県警生活経済課などへの取材では、持ち出した図面データなどは容量が大きく、唐容疑者は、とくに今年2月以降の短期間で、集中的にハードディスク(HD)にダウンロードしていた。
捜査関係者によると、工作機械の図面は、前後上下などの複数方向から見ないと全体像を把握できない。唐容疑者は不正な持ち出しは否認した上で「一つの機械の部品を立体的に取っていた」と供述。県警は「勉強」のためではなく、第三者に渡す目的だったとみている。
唐容疑者は、外回りの営業社員に工作機械の性能を説明する担当で、本来は詳細な図面は必要ないという。
唐容疑者は逮捕前日に中国渡航を計画する一方、「他社への転職を予定していた」とも供述。県警は、不正取得した先端技術データを中国に持ち出すか、転職先に持ち込む狙いだったとみて、パソコンやHDの解析を続けている。
会社の調査では、唐容疑者は、サーバーに接続するIPアドレスに規制をかけられた後も勝手にIPアドレスを改変してダウンロードを続けていた。データ容量が大きいため、高速で取り込める専用ソフトを勝手に社用のパソコンに導入していたという。
(中日新聞)