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沖縄戦時、慶良間諸島で起きた住民の「集団自決(強制集団死)」の記述をめぐり、旧日本軍の戦隊長らが作家大江健三郎さんと岩波書店を訴えた訴訟で、最高裁が原告側の上告を棄却したことを受けた報告集会が10日、那覇市の教育福祉会館であった。約120人が参加し、文科省に対し、2006年度の教科書検定意見の撤回を求めることなどを盛り込んだ集会アピールを採択した。
主催は、沖縄戦の歴史歪曲(わいきょく)を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会。岩波書店の岡本厚さんらが裁判の経過を説明したほか、渡嘉敷島の「集団自決」を体験した金城重明さん、大阪地裁で証人尋問に立った沖縄女性史家の宮城晴美さんらも登壇した。
シンポジウムで、岡本さんは「形式的には名誉棄損(きそん)をめぐる裁判だったが、原告が狙ったのは、集団自決の軍命を否定することにより、軍の名誉を回復し、殉国美談を復活させることだった」と指摘した。
沖縄平和ネットワーク代表の村上有慶さんは、家永訴訟を振り返り「(当時は)座間味、渡嘉敷の証言をしてくれる人が多くなかった。今回は続々と証言者が出てきて、事実を聞かせてくれた。真実の証言が大きな力になった」と述べた。
沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会の高嶋伸欣共同代表は「文科省に対して、集団自決の記述を適正な表現に戻すよう、監視を続けないといけない」と呼び掛けた。
県高校PTA連合会の棚原勝さんは「子どもたちのため、二度と過ちを起こさせないためにも、正しいことを正しく伝えることが必要。親として後押ししていきたい」と訴えた。