名古屋市は29日、北区役所保険年金課で少なくとも2001年から05年にかけて、240万円余の裏金がつくられていたと発表した。関係した7人のうち退職者を除く2人を減給や口頭注意処分とした。
市監察室などによると、内部告発があり先月下旬に調査した。01年に担当職員名義で開設された裏金用の銀行口座に、5年間にわたり、アルバイト職員の雇用日数を水増し請求する手口で計190万円が入金されていた。
この口座には、別の口座から54万円が移されていた。別口座の記録は未発見で、裏金づくりが始まった時期は不明。
名古屋市では07年に2億円余、09年に1億円の裏金が発覚したが、今回のケースはいずれの調査もすり抜けていた。
全庁が対象だった07年の調査では当時の課長(61)が「裏金は無い」と虚偽の報告をし、部下の係長(53)に関係書類を細断するよう指示した。市観察室は「原則、課単位で調べており、課長に隠されてはどうしようもない」と弁明している。
裏金は臨時にアルバイトの雇用や備品購入が必要となった際、煩雑な事務手続きを避けて支出するためだったという。市は「私的流用は無い」と説明している。口座からは実際にアルバイト費用など86万円が支払われていた。
市は07年当時の係長を口頭注意に。02〜03年の係長で、1年契約で再任用中の職員(61)を減給10分の1とし、新年度の契約更新を取りやめた。減給期間は3日間となる。残り5人は既に退職済み。
市は7人に対し、裏金の合計額から、口座残高と正当性が認められる支出を除くなどした約30万円の返還を求める。
(中日新聞)