広島で被爆した神戸市在住の男性(84)が国に原爆症認定を求めた訴訟の判決が9日、大阪地裁であり、山田明裁判長は男性の認定申請却下処分を取り消し、国に認定の義務付けを命じた。弁護団によると、原爆症認定を巡る訴訟で認定を義務付ける判決は初めて。弁護団は「現在の認定実務は、近距離被爆者だけ認定するなど運用に誤りがある。その中で今回の判決の意義は大きい」としている。
男性は爆心地から約2・5キロで被爆した。08年に心筋梗塞(こうそく)で原爆症認定を申請し、09年に国に速やかな認定を求めて提訴した。10年3月に認定申請を却下されたため、却下処分取り消しも求めていた。
判決は「心筋梗塞と放射線被爆は関連がある。しきい値(これ以下なら安全という値)は存在しないと考えるのが合理的だ」と指摘した。
また、山田裁判長は同日、原爆投下後に広島市に入った中村武吉さん(83)=神戸市=が原爆症認定申請の却下処分取り消しを求めた訴訟についても、国の却下処分を取り消した。【牧野宏美】
毎日新聞 2012年3月10日 大阪朝刊
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