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「ゆりかご」に預け留学も 専門部会が報告書 2012年03月29日

「ゆりかご」に預け留学も 専門部会が報告書の写真、図解
「こうのとりのゆりかご」を中期的に検証する報告書を幸山政史・熊本市長(右)に手渡す弟子丸元紀・専門部会長=29日午前、熊本市役所(宮崎あずさ)
 「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」の在り方を議論する熊本市要保護児童対策地域協議会の専門部会(弟子丸元紀部会長)は29日、中期的検証報告書をまとめ、幸山政史市長に提出した。報告書は、親が仕事や海外留学のために子どもを預けるなど、身勝手な事例も複数あり、「安易な預け入れにつながっている」と指摘している。

 専門部会は2009年10月から11年9月までの2年間に預けられた30人を対象に、ゆりかごの利用状況や背景などを分析。11年4~9月の半年間で新たに6人が預けられたことも判明した。07年5月のゆりかご設置以降5年間の合計は81人となった。

 報告書によると、(1)仕事や留学のため、預ける施設が見つからないための利用(2)未成年後見人の伯父がおいの男児を預けた後、子どもの相続財産を着服した事件-もあった。自宅や車中で出産したり、生後すぐに飛行機でゆりかごに向かったりするなど、母子の生命にかかわりかねない事例もあった。

 報告書は、ゆりかごの匿名性を「母子の緊急避難として機能している」と評価する一方、子ども自身が出自を知る権利を保障するため「実名化を前提に、預け入れ者の秘密を守る手法の検討が必要」と強調した。

 国には身元判明につなげるため、医療機関で生まれた子どもの出生届を、市町村が処理したかどうか確認できる全国的システムの導入を求めている。

 ゆりかごは、親が育てられない子どもを匿名で受け入れようと慈恵病院(熊本市)が07年5月に設置した。

 中期的検証は県が担っていたが、10年4月の児童相談所開設に伴い、市が引き継いだ。 報告書は幸山市長が厚生労働省に提出する。(舞永淳子)


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