災害時の踏切問題 検討始める3月29日 21時2分
東日本大震災では、停電が起きた被災地や電車が長時間止まった首都圏で踏切が閉まったままになり、避難を妨げたり渋滞を激しくさせたりしました。
このため、国土交通省は、鉄道各社を集めた協議会を設けて、29日から災害時の踏切の問題をどうするか検討を始めました。
東日本大震災の被災地では、停電などの影響で踏切が閉まったままになり、大津波警報で避難する際の障害になりました。
また、首都圏でも電車が運転を見合わせた関係で踏切が長時間閉まり、大渋滞に拍車をかけました。
この問題の対策を検討する協議会の初会合には、国土交通省や鉄道各社、それに警察庁の担当者が集まり、まず東日本大震災で起こった現象が報告されました。
続いて、大規模災害で電車が止まっているときに限って、十分に安全を確認したうえで踏切を渡ることを認めることができるかが話し合われましたが、警察庁の担当者は「閉まっている踏切に入ってはならない」という道路交通法に違反するおそれがあると指摘しました。
国土交通省は、今後、緊急輸送ルートなどに定められた幹線道路の踏切を優先して検討を進め、1年後に具体的な対策をまとめたい考えです。
被災地では津波からの避難阻む
東日本大震災では、大津波警報が出るなか、踏切が津波から逃げる人たちの行く手を阻みました。
踏切は、近づく列車を自動的に検知して閉まります。
しかし、停電で電力が断たれ、列車の位置が検知できなくなると、多くの踏切は安全のために閉まります。
このため、停電が起きた被災地の沿岸部では各地で踏切が閉まったままになったのです。
このうち宮城県東松島市では、JR仙石線の野蒜駅近くの踏切が遮断されたままになりました。
目撃者によりますと、このため車の渋滞が100メートルを超え、多くの車が津波で流されたということです。
同じような踏切の遮断は、岩手県の大船渡市や山田町、宮城県の気仙沼市や山元町、福島県の新地町など各地で起きていました。
被災地では、内陸に敷き直す線路は、踏切ではなく立体交差にする所もありますが、全国の海沿いを走る鉄道の踏切では同じ問題が起きるおそれがあり、避難の課題になっています。
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