厚生労働省は28日、厚生年金基金に関する実態調査(3月1日時点)の結果を公表した。資産の運用を担当する役職員の9割が運用業務経験のない「素人」だったことが分かった。役職員に天下りしている国家公務員OBは721人(うち旧社会保険庁、厚労省出身者689人)で、09年5月の調査(646人)より75人増えたほか、厚労省が役員の公募を求めた10年9月以降に役員が任期を迎えた200基金中、公募をしたのは37基金にとどまることも判明した。
調査はAIJ投資顧問の年金消失問題を受けて、3月1日時点で存在する581基金を対象に実施した。運用体制を回答したのは558基金。運用に携わる役職員は総数2065人だが、88%の1826人は運用業務の経験がない。証券アナリストなどの資格を持っている人は2%の37人で、7割の基金は運用コンサルタントを採用していなかった。558基金中AIJに委託したことのあるのは88基金だった。
天下り役職員の内訳は役員405人(366基金)、職員316人(230基金)。職員は、09年5月時点の調査(180人)の2倍近い。厚労省は、09年12月の旧社保庁廃止に伴って多くの退職者が再就職先に厚年基金を選んだとみている。
同省は公募要請が徹底されていないことについて、30日に改めて公募実施を求める。【鈴木直、石川隆宣】
毎日新聞 2012年3月29日 東京朝刊
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