選挙リスト捏造:大阪市職員、維新塾に応募していた

2012年3月28日 2時30分 更新:3月28日 2時40分

「維新政治塾開講式」であいさつする橋下徹・大阪維新の会代表=大阪市北区で2012年3月24日午前10時42分、大西岳彦撮影
「維新政治塾開講式」であいさつする橋下徹・大阪維新の会代表=大阪市北区で2012年3月24日午前10時42分、大西岳彦撮影

 昨秋の大阪市長選を巡り、市交通局の非常勤嘱託職員が平松邦夫前市長の推薦人紹介カードの配布リストを捏造(ねつぞう)した問題で、この職員が大阪維新の会(代表・橋下徹市長)の「維新政治塾」に応募していたことが分かった。リストを内部通報した維新市議とは市長選前に開かれた維新の集会がきっかけで知り合ったことも判明。橋下市長らの歓心を買うことが、捏造の動機となった可能性が出てきた。

 職員は32歳の男性で、27日付で解雇された。維新関係者によると、次期衆院選に向けて候補者を養成する維新政治塾に応募したが、市職員だったため、書類選考で落とされ、受講生になれなかった。

 職員は27日午前、交通局本庁舎(同市西区)であった聞き取り調査で捏造を認めた。終始無表情で淡々と質問に答え、解雇を告げられると黙ってうなずいた。「とんでもないことをした」と、戸惑いを見せたものの、最後まで謝罪の言葉はなかったという。

 職員は昨年5月、1年契約で交通局鉄道事業本部に採用され、パソコンを使った経理処理などを担当。てきぱきとした仕事ぶりが評価されていた。一方、無口で同僚とはあまり話さず、昼食も1人で取ることが多かったという。

 リストを持ち込んだ維新の杉村幸太郎市議(33)とは昨年、維新が市内全24区で開いた区民会議で知り合った。以来、メールや電話で連絡を取り合い、組合が市長選期間中に配布した違法な選挙ビラなど複数の内部情報を提供していた。杉村市議は「維新を応援していると言っていた。細くていかにも真面目そうな青年。捏造なんてしそうにもない」と印象を語る。

 リスト捏造について、杉村市議は「彼を疑う蓋然(がいぜん)性に乏しかった。詰められるところはすべて詰めてやった」と強調した。橋下市長も「議会の指摘があったからこそ捏造問題が明らかになったという意味で、議会としては健全だ」とし、問題はないとの姿勢だ。

 しかし、告発者の「自作自演」を見抜けず、偽のリストを基に組合を追及した維新に対し、他会派から批判の声が上がっている。ある市議は「杉村市議はまず謝罪すべきだ。このままでは民主党の偽メール事件の二の舞いになる」とくぎを刺す。組合幹部も、維新の対応に「議会人としてはあるまじきことで、見識を疑う。問題なしと言っていることが理解できない」と憤った。【林由紀子、津久井達、原田啓之】

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