8割は薬物関連で、同掲示板を舞台とした麻薬特例法違反事件を捜査している警視庁では、ずさんな掲示板管理が違法行為を助長したとの見方を強めている。一方、書き込み削除を担う通称「削除人」経験者らは読売新聞の取材に、「書き込みの自由を尊重するあまり、削除を避ける傾向にある」と内部の実態を証言した。
警察当局によると、違法行為に関わる書き込みで、運営者に通報しても削除されなかったケースは2010年上半期だけで約2000件。そのうち1001件が2ちゃんねるだった。
2ちゃんねるでは、「削除ガイドライン」を公表し、
これに対し、2ちゃんねるの運営に携わる東京都内の20歳代の男性は、「もし違法薬物の取引などにガイドラインを超えて対応しようとしたら、今の態勢では無理」と話す。
男性によると、削除人を含め、運営の中心はネット上で募ったボランティアによって担われ、その人数は1999年の開設時から数えても300人程度という。約100人いるとされる削除人のほか、削除依頼の方法を利用者にアドバイスする「案内人」、掲示板運営を妨害する投稿を規制する「
「削除人」は、「下級」「中級」「上級」とランク分けされ、削除できる権限が異なるという。単純な書き込みだけを消去できる「下級削除人」として「修業」を積んだ後、認められると「昇進」していく。
削除人同士の横の連携はあまりなく、別の現役の削除人は、「一部の主要メンバーを除くと、多くの削除人は互いを知らず、今回のように問題が起きても管理人からの連絡がなく、対応できない」と困惑する。
削除要請が放置されている現状について、「伝統的に削除を嫌う風潮が影響している」と見るのは、創成期に削除人を務めていた男性だ。「削除人の間では、削除しすぎると強い批判を受けるため、削除に慎重な雰囲気が育っていった」と振り返り、「そうした空気は、削除人を解任する権限をもつ管理人らの意向に左右されていたのでは」とみる。
「書き込む側の権利を尊重し過ぎ、削除を避ける傾向があったが、その被害を省みるべきだった」と、男性は2ちゃんねるの仕組みを批判した。