ブラジャー、ホイス、カンダ…“東京ご当地アルコール”が急増
nikkei TRENDYnet 3月29日(木)11時4分配信
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| バイス、ホイス、カンダ……呪文のような響きだが、すべて東京発祥の酒。実は東京は、ご当地アルコールの宝庫だ。 |
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例えば焼酎ハイボールに使う炭酸の一種、梅しそ味の「バイス」(コダマ飲料)は、ここ数年で出荷量が同社の「りんご」や「うめ」を抜き、「レモン」に次ぐ2位に。「もつ焼き人気やクチコミでバイスの味が再認識されたようだ」(コダマ飲料)。ブームの影響で下町の居酒屋を初めて訪れる人が増え、そこで常連客が飲んでいる“謎のハイボール”が発掘された形だ。
バイスは大田区大森、ホイスは港区白金、カンダハイボールは千代田区神田が発祥。これらは比較的小さな工場で生産されているため流通量が少なく、どこでも飲めるというわけではない。そのレア感が人気に拍車をかけ、古くから東京に根づいたご当地アルコールとして今、脚光を浴びているのだ。
バイスホイスカンダハイボール電気ブラン梅割り背後には「人に語りたくなる」ストーリーも
こうした動きを見てか、B級グルメのように新たなメニューで地域活性化を狙う、東京のご当地アルコールの新勢力が相次いで登場している。
淡いピンク色に染まったグラスを口に運ぶと、桜の香りがほんのりと鼻先をなでる―。「東京スカイツリーカクテル」は“お膝元”である墨田区で2010年12月に誕生した。墨田区の木である桜を使ったリキュールと、スカイツリーを連想させる「スカイウオツカ」をベースに使用。炭酸には地元生産の「吾妻ラムネ」を使うというこだわりようだ。女性でも気軽に飲めるようなライトな味に仕上げ、「花見や花火だけではない墨田区の魅力を広めたい」(BAR Bee 山田隆之氏)という。
公式サイトや公式ガイドの完成度も高く、それらを頼りにバーを渡り歩く人がいるなど、人気も上々。レシピの背景にある、人に語りたくなるようなストーリーもクチコミでの認知度を高めている。東京スカイツリーの開業をきっかけに東京の「シティカクテル」として広く根づきそうだ。
東京スカイツリーカクテルタワービルブラジャー、ブクボール…名前のインパクトで知名度アップ
ストーリーよりも名前のインパクトで認知度を一気に高めたのは、“酔えるブラジャー”こと「横須賀ブラジャー」だ。基本レシピはブランデーとジンジャーエールで、両者を合わせて「ブラジャー」。横須賀中央駅前の飲食店街「若松マーケット」の店主らが、地元活性化を狙って昨年11月に開発した。
ハイボール人気に対抗するため、「過去にウイスキーと同じぐらい飲まれていたブランデーをベースに採用」(若松新生商業組合)。ソーダではなくジンジャーエールを合わせ、飲み口を軽くすっきりとさせた。
戦後から続く若松マーケットは、今ではうらぶれた印象を受ける街並みだが、横須賀ブラジャーの開発では、それを逆手に活用。「昭和レトロ」の雰囲気をグラスのデザインやポスターに取り入れ、それが「今の女性や若者には新鮮に受けるようだ」(同商業組合)。
ブランデーとジンジャーエール以外にソーダや生ショウガを入れる店もあるなど、レシピの自由度が高いのも特徴だ。使うブランデーのランクによって「Aカップ」「Bカップ」などのバリエーションを用意したり、湯を使った「ホットブラ」を出す店もある。こうした遊び心が話題性にうまくつながり、横須賀ブラジャー目当てで訪れる新規客も増えているという。
横須賀ブラジャー ユニークな名前とは裏腹に直球勝負するのが池袋の「ブクボール」。ウイスキーを炭酸で割った正統派ハイボールだ。「池袋のバーテンダーが作ったハイボールがブクボール」(BAR イレブン 川島庄平氏)と厳密なレシピがないのが特徴。
実は池袋は、昭和30年頃に生まれ、庶民的なバーとして全国的に大人気となった「トリスバー」発祥の地でもある。トリスバーの人気メニューだったハイボールを池袋から再び広めたい、という意気込みで、現在のハイボールブーム以前の05年頃から提供。今では池袋の多くのバーでブクボールの呼び名が浸透しているという。
「アルコールを炭酸で割るというメニューは、食べ物よりも開発しやすい」(飲食店店主)。レシピが難しくなく、他の店にも広めやすいため、新たなご当地アルコールは今後も登場しそうだ。ただ、地域に定着させるには、そうしたメリットを武器に認知度をどこまで高められるかが課題となる。
ブクボール撮影協力(タワービール、ホイス、カンダハイボール、バイス)/サカイ酒場 馬喰町店 東京都千代田区東神田1-14-14)
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最終更新:3月29日(木)11時4分
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