大阪府は16日、福井県内の原発で福島第1原発事故クラスの事故が起きたと仮定して滋賀県が作成した放射性物質拡散予測に基づき、想定される府内での影響を公表した。その結果、同県が気象条件などをもとに策定した106例の予測のうち、甲状腺内部被ばく線量について、安定ヨウ素剤の投与が必要とされる50ミリシーベルト以上の府内地域が出るケースが11例あることがわかった。そのうち1例では屋内退避の指標となる100~500ミリシーベルトに達する地域が一部含まれていた。【佐藤慶、林由紀子、熊谷豪】
予測は滋賀県琵琶湖環境科学研究センター(大津市)が作成したもの。福井県の敦賀、美浜、大飯、高浜の各原発で事故が発生し、放射性ヨウ素が6時間にわたって計2万4000テラベクレル放出されたという状況を想定。北よりの風が吹いた過去の気象状況の中から106例を選び、予想される24時間の積算の被ばく線量をシミュレーションした。府が同県にデータの提供を依頼し、106例中、府内で影響が出る11例を公表した。
予測結果によると、最も広範囲に影響があったのは10年3月6日の気象状況の下、大飯原発で事故が発生した場合で、府内では高槻、大阪、河内長野市など25市町村で50~100ミリシーベルトが予測された。また高浜原発で同日発生した場合には能勢町の一部で100~500ミリシーベルトに達することが予測された。
これを受け、箕面市は16日、独自に空間放射線量を近く観測し、公表する方針を発表。開始時期や観測地点数は今後検討する。
一方、松井一郎知事は16日、「悪い情報も公開する。事業者に対しては意見は言っていく」と述べ、停止中の大飯原発3、4号機について、関西電力に対して安全性を確認しない限り再稼働しないよう求める考えを示した。一方、大阪市の橋下徹市長は「大阪のリスクを分析し、(原発再稼働に対する地元の)同意権まで主張できるのなら主張する」と述べ、政府に対して大阪府の同意が必要と求めていく構えを示した。
毎日新聞 2012年3月17日 大阪朝刊
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