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なるほドリ 食品に含まれる放射性物質の基準が厳しくなるんだってね。ところで、どうやって検査しているの?
記者 各都道府県が食品衛生法に従って、出荷される食品の放射性物質を検査し、結果を厚生労働省に報告しています。出荷時期に応じて週1回程度、自前の検査機器を使うか、民間の検査機関に委託して行います。千葉県の場合、毎週20~30種類の野菜を産地から取り寄せ、外部の専門分析機関に送って調べます。サンプルは1種類につき2キロ必要で、県が農家から買い取っています。
Q 検査機器はどんなもの?
A 国は食品の放射性セシウム検査法として、精密に測れるゲルマニウム(Ge)半導体検出器の使用を規定しています。ただ、野菜や穀物、肉、魚などは、検査対象が多いので、簡易型のヨウ化ナトリウム(NaI)シンチレーション検出器も認めています。まずNaI検出器で大まかな検査をして食品をふるいにかけ、問題がありそうなものを精度の高いGe検出器で調べるという考え方です。より基準の厳しい飲料水や牛乳・乳製品は、Ge検出器で検査することになっています。
Q なんか難しいね。
A どちらも食品を1~2センチ角に刻んで機器の容器に隙間(すきま)なく詰め、放射線が検出部分に当たって発する光を分析し、放射性物質の量を測ります。一度に検査する量が多いほど検出感度が上がります。検出器を囲むように検査したいものを詰めるマリネリ容器という形式もあり、より性能は高くなります。表面だけを調べるサーベイメーターという1台数十万円の機械もあります。
Q これまでどのくらい検査したのかな。
A 厚労省によると、飲料水を除き、1月末までに全国で10万738件の検査が行われ、牛肉が6万5964件と65%を占めます。ほかは野菜類1万7012件、水産物6156件、コメなど穀類5379件など。今の流通基準である暫定規制値(牛乳・乳製品は1キロあたり200ベクレル、それ以外の食品は500ベクレル)を超えたのは1087件でした。
Q 基準を超えたら?
A その食品は在庫管理単位ごとに回収、廃棄されます。さらに、基準を超えた食品の生産地の状況を踏まえ、国の要請を受けて各都道府県が県全域か一定の区域で出荷停止などを指示します。4月からは基準が厳しくなるので、出荷制限を受ける食品は増えると予想されます。(リスク取材班)
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毎日新聞 2012年2月19日 東京朝刊
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