大手工作機械メーカー「ヤマザキマザック」(愛知県大口町)から機密情報の設計図などを不正に取得したとして不正競争防止法違反の疑いで逮捕された中国籍の同社社員、唐博容疑者(31)=同町下小口=が、社内システムへの接続の可否を判断するIPアドレスを変更してデータ取得を続けていたことが28日、同社の調査で分かった。県警や同社は不正入手の手口を詳しく調べている。
同社によると、機密情報に接続できるパソコンは社内に約900台あり、IPアドレスとパスワードなどで接続の可否を見分ける。
唐容疑者は一部の情報にアクセスする権限を持っていたが、今月12日、「帰国して父を看護するために辞めたい」と退職を申し出た後、大量のデータをダウンロードした。これを上司が不審に思い、14日、唐容疑者のパソコンからアクセスできる情報を狭めた。
ところが、その後もダウンロードが続いたため、同社がアクセス履歴などを調べたところ、唐容疑者が自分のパソコンのIPアドレスを、接続が許可されているものに書き換えた形跡があった。唐容疑者は社内調査に「勉強のためアクセスした。データは外には持ち出していない」と話したという。同社は「IPアドレスで接続をブロックしたつもりだったが、唐容疑者にかいくぐられた」と話す。
同社や県警によると、唐容疑者は中国・瀋陽市出身。留学して関東地方の大学の経済学部を卒業後、06年4月に同社に入社した。【高木香奈】
IPは「インターネット・プロトコル(通信接続手順)」の略語。パソコンや携帯電話など機器ごとにIPアドレスが割り当てられており、インターネットなどにつないだ際、どのパソコンから接続されたのか識別できる仕組みになっている。
毎日新聞 2012年3月28日 15時00分
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