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ライフ
偏見や恐怖感 取り除いてほしい 注目される『幻聴妄想かるた』
2012.3.29 07:40
「知り合いのお坊さんの声が聴こえてくるんだ」
「おとうとを犬にしてしまった」「知り合いのお坊さんの声が聴こえてくるんだ」。医学書大手の医学書院(東京都文京区)が発売した『幻聴妄想かるた』(2415円)が注目されている。統合失調症などの病を持つ人の体験を絵札などにした異色のかるただ。
かるたは、精神障害者の共同作業所「ハーモニー」(同世田谷区)が平成20年に制作。医学書院が女優の市原悦子さんの札読み上げCDと、作業所の日常を紹介するDVDを追加し、新装版として売り出した。医学書院の石川誠子(なりこ)さんは「偏見や恐怖感は知らないから生じる。まず手に取ってもらうため、面白さは大事だと考えた」と明かす。
札の内容は、「とつ然雨が降ってきて そしたら 周りの町が消えていった」という心の内面を描写したものや、「せん生『それは妄想です』僕『いやテレパシーだ』」といったユーモラスなものまで実に幅広い。冊子には、「まず怖い存在でないことを知ってもらいたい」(40代男性)などの通所者のメッセージも収められている。
ハーモニー施設長の新沢克憲さん(51)は「妄想を語られた場合、受け流すのが精神科の常識だが、その人には重要な関心事。押し殺すのではなく、共存の方法をとった」と説明。「危険と思われるのが一番悲しい」という通所者の声を挙げ、「妄想を受け止める場を作ることで症状軽減の効果もある」と語る。
かるたの購入は書店や、ハーモニー((電)03・5477・3225)で。(磨井慎吾)
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