自民党の三原じゅん子参院議員が「このままでは『日本海』という呼称が危ない!」と警鐘を鳴らしている。4月にモナコで開かれる第18回IHO(国際水路機関)総会で、韓国が「日本海」と「東海」の併記を要求する構えを見せているのだ。消費税増税に邁進する民主党政権だが、隣国の暴走を止められるのか。
IHOは5年に一度、世界の海域の境界と名称を記載した「海洋と海の境界」を刊行している。1928年の初版発行以来、現在まで日本海は「日本海」と表記されてきた。
それに異議を唱えているのが韓国だ。52年に自国で刊行した海図には「日本海」と記載していたのに、92年の国連地名標準化会議で突然、「日本海呼称は帝国主義の残滓。『東海』を国際的に使用しろ」と要求してきた。
三原氏は初当選以来、自身の経験から、がん予防やがん患者の福祉、不妊治療対策などに力を入れてきたが、外交安保、領土・領海問題への関心も高い。韓国側の動きは看過できない。
韓国も、米国や英国、中国、ロシアなど主要国が「日本海」を支持しているために不利と見たのか、97年から「日本海」と「東海」の併記を主張し始めた。その陰で、国際世論の形成を着々と進めていた。
中央日報(昨年4月19日)によると、スペイン観光局通商省は韓国の抗議で「東海」に変更。フランス外務省も「日本海」と「竹島」の名称を地図から削除したという。今年3月、韓国の反日団体が主催したセミナーでは、オーストリアの学校が併記を採用したと報告されている。
韓国はこうした事例を4月のIHO総会で提示し、「日本海」の抹消への一歩を踏み出す魂胆だ。これについて日本はどう対処するのか。
外務省北東アジア課に問い合わせると、「HPを見てくれ」と事実上の取材拒否。民主党政権の危機意識の低さと連動しているのか。
三原氏は「日本海呼称問題は重要な国益だ。慰安婦問題などでも、韓国は自国に都合よく事実を捻じ曲げてきた。それを増長させたのが、無節操な国家観をさらした鳩山政権だ。だからこそ、まっとうな日本の政治家はもっと国外で発言すべきだ。正しいことはいつでも正しいのだから」と語っている。(ジャーナリスト・安積明子)