東電・武黒氏 注入中断指示を陳謝3月28日 20時39分
福島第一原発の事故直後に、総理大臣官邸で対応に当たった東京電力の武黒フェローが、国会の原発事故調査委員会に参考人として出席し、原子炉への海水注入の中断を指示したことについて、「菅総理大臣の了解を得てからと思い、いったん止めるように連絡したが、混乱を招き、申し訳なく思っている」と陳謝しました。
28日開かれた国会の原発事故調査委員会には、東京電力で原発に関する技術的な助言や指導を行う立場にあり、福島第一原発の事故直後に東京電力の代表として、総理大臣官邸で対応に当たった武黒一郎フェローらが参考人として招かれました。
武黒氏は、事故発生当初、東京電力が行っていた原子炉を冷やすための海水注入を中断するよう、現場に指示を出しましたが、現場の判断で、海水注入は継続されました。
これについて、武黒氏は「当時の菅総理大臣への説明が終わっていなかったため、理解を得てから行うのが重要だと思い、いったん止めるよう連絡した。現場の所長らに負担をかけ、混乱を招いたことを申し訳なく思っている」と陳謝しました。
これに対し、委員からは「総理大臣の了解がなければ、安全上必要なことでも止めるのか。どちらを向いて仕事をしているんだ」と厳しい批判が出されました。
このあと記者会見した黒川委員長は「事故当時、東京電力は武黒フェローを官邸に送ったが、本人は現場の情報を官邸に伝えているのではなく、官邸の意向を現場に伝えていたように見える」と述べました。
そのうえで、黒川氏は「東京電力は、事故防止や被害最小化の一義的責任を負っていると言われているにもかかわらず、原発事故を防ぐための自助努力に厳しさや国民目線の対応が足りなかった。原子力安全に関わる事業者がやるべきことについて、必ずしも明確には認識していないのではないかと思われる」と指摘しました。
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