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コラム

“毒気”増すフェデラー、キャラ変更にファン戸惑い!?

2012/03/22

ロジャー・フェデラー

毒気もむしろ魅力の一つ。全盛期を過ぎてなお、フェデラーはファンを大いに楽しませる。(写真提供:AP/アフロ)

 最近、ロジャー・フェデラー(スイス)の発言がよく物議をかもす。スイスがアメリカに敗れたデビスカップでは、自身も単複で2敗したにもかかわらず、敗戦の原因はスタニスラス・バブリンカにあったかのような物言いをしたかと思うと、先週はインディアンウェルズで……。

 フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)との準々決勝での出来事だった。開始直後のフェデラーのサービスゲームはもつれ、6度目のデュースのあと、インと判定されたファーストサーブに対してデル ポトロが“チャレンジ”。しかしホークアイが作動せず無効となった。このようになケースでは審判の判定に従うことになっており、完全にフォールトだったと主張するデル ポトロの猛烈な抗議は聞き入れられず。「僕はあれから試合に集中することができず、ロジャーのプレーはどんどん良くなっていった」という言葉通り、6-3、6-2でフェデラーが一方的に勝利した。

 実はフェデラーも「あれは僕もフォールトだと思った」とあとで認めている。実際セカンドサーブのモーションに入ろうとしていた。にもかかわらず、デル ポトロと主審との口論を「見ていて楽しかった」などと発言したことが取りざたされた。ただ、単純な意地悪で言ったわけではない。フェデラーはホークアイには昔も今も反対で、それは「テニスが機械的になり、選手が個性を発揮する場を失われ、人がゲームを作る味わいが薄れる」からだと言っていた。プレーヤーと主審との激しい口論もまた、ゲームを盛り上げる光景のひとつと考えているようだ。

 しかし、そもそも何食わぬ顔でポイントをもらったフェデラーの態度に失望させられたファンは、その発言でさらに追い打ちをかけられ、ネットのコメント欄も「なんてバカげた意見だ!」「理解できない」と非難ごうごう。フェデラーは、ATPアワードでは選手の投票で選ばれるスポーツマンシップ賞を7回も取るほどのスポーツマンだ。選手としても人としても「パーフェクト」なフェデラーなら、フォールトを自ら認めてセカンドサーブを打つくらいの余裕があってほしいが、考えてみるとフェデラーはそういうわかりやすいスポーツマンシップを披露しない。そういう行動をとるのは意外にも(?)アンディ・ロディック(アメリカ)だったりするのだが、フェデラーはフェデラーでそれが彼流の審判への敬意かも……そう考えるのはやはり美化しすぎだろうか。

 ホークアイに話を戻すが、その登場以降テニスにはそれまでなかった新たな“駆け引き”の要素が生まれた。チャレンジの数をにらみながら行使すべきか否か考え、その権利を使い果たしてしまうと精神的に不利に追い込まれるし、ホークアイが設置されていないコートでは見ていても多少不安な気持ちになる。本来テニスはそういうものだったのに。実はフェデラーは“アンチ”でありながら、チャレンジをよく使い、そしてよくはずすのだ。ハナから信用していない、どうでもいいという態度は、テニスのゲームに本来存在しなかった新たな“駆け引き”にとらわれまいとする姿勢にもうかがえる。

 一度テクノロジーに依存すれば後戻りはできないが、ホークアイが当たり前の時代になっても審判との口論がなくなることはないだろう。フェデラー自身、09年の全米オープンの決勝ではデル ポトロがチャレンジを要求するタイミングが遅いと主審に執拗に抗議したことがある。フェデラーのイメージをぶち壊す口汚さで、マイクを設置していた中継テレビが慌てふためいたほどだ。最近毒気が強くなったように感じるフェデラーの言動も、その素地はあの頃からも十分にあったし、だいたいジュニア時代の彼を思い返してみるといい。ゲームに人間味を求めるフェデラー自身が完璧な冷徹人間であるはずはなく、全盛時代を過ぎ、年をとって露呈されていく人間臭さを、私たちは戸惑いながらも大いに“楽しめば”いいのではないだろうか。


プロフィール

山口 奈緒美

山口 奈緒美[やまぐち なおみ] フリーライター
1969年生まれ。和歌山県出身。ベースボール・マガジン社『テニスマガジン』編集部を経て97年よりフリーに。02年よりスポーツニッポン新聞社通信員。テニス専門誌やスポーツ情報誌、テニス関連サイトで大会レポートやコラムなどを定期的に執筆。99年以降グランドスラム大会はすべて現地で取材し続けている。

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