2012年3月28日 10時53分 更新:3月28日 13時17分
経済産業省原子力安全・保安院は28日、関西電力大飯原発近くの三つの断層が約63キロ連動して地震が起きる場合を考慮しても耐震安全性に余裕があるとした関電の評価を妥当と判断した。その数値をもとにした耐震性を評価するよう指示した。揺れの上方修正で、地元の再稼働判断に影響する恐れがある。
従来は若狭湾にある二つの断層約35キロの連動しか想定していなかった。しかし、最近の専門家会議で、南東の熊川断層との3連動(総延長約63キロ)も考慮するように求める指摘が相次いでいた。
これまで関電は「3連動の可能性は極めて低い」と主張。二つの断層の連動を考慮した揺れや津波で、再稼働に必要な安全評価(ストレステスト)1次評価を実施。3連動については「念のため」と試算的に評価したところ、揺れは従来の700ガル(ガルは加速度の単位)から760ガルになった。しかし、炉心損傷の可能性が出てくる揺れ(1260ガル)までには余裕があり「仮に連動しても問題ない」と結論付けた。保安院や内閣府原子力安全委員会は連動問題は検討中として、1次評価での議論は加味してこなかった。
保安院はこの日、関電が示した3連動による揺れの大きさ(760ガル)の評価は妥当と判断。さらに、この揺れによる原発施設の耐震安全性の評価を関電に求めた。その上で「耐震性に余裕があるので、当面は1次評価を見直す必要はない」としている。【岡田英】
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