【社説】統合進歩党は催涙弾議員を安重根と同列に扱うな

 統合進歩党の李正姫(イ・ジョンヒ)共同代表は26日、昨年11月に韓米自由貿易協定(FTA)批准案採決阻止のため、国会本会議場で催涙弾を破裂させた同党の金先東(キム・ソンドン)議員の行動を「義挙」と述べた。金議員は検察からの出頭要請を8回も拒否したため、この日在宅起訴されるに至ったが、李代表は金議員と共同記者会見を行い「金議員は今の国会が生きていることを身をもって示した」とし「韓米FTAは破棄される運命から逃れられないだろう」と述べた。2人はさらに「与党セヌリ党議員らを、催涙ガスをまいた容疑で起訴する」「政治弾圧だ」などと激しい口調で不満を吐露した。

 刑法では催涙弾のような危険物を所持し、公務の執行を妨害すること(136条)や、法廷または国会の会議場での騒動(138条)に対しては、特殊公務妨害罪(144条)として処罰するよう定めている。韓米FTAに対する考え方が、政党ごとに異なることは当然あり得るだろう。しかし自分たちと考えが異なるからといって、立法府の象徴である本会議場に催涙ガスを持ち込んで破裂させ、同じ議員らに危害を加えることは、明らかに犯罪行為だ。このような犯罪を行った人物に対し、政党の代表が「英雄」などと持ち上げ、その行為を「義挙」とするのは、まさに立法府を完全に無視する憲法破壊行為に他ならない。

 金議員は国会議員だが、検察はその国会が制定した法律に基づいて犯罪捜査を行う。ところが金議員はその検察からの出頭要請を4カ月にわたり無視した。その間、金議員はFTA反対を主張する集会などには必ず顔を出し、催涙弾を破裂させた自らの行為に「安重根(アン・ジュングン)義士と尹奉吉(ユン・ボンギル)義士の心情」などを関連付け、結果的に2人の義士を侮辱した。「反米自主化」を呪文のように唱え、韓米FTAが実現すればすぐにでも米国の植民地になるかのように騒ぎ立てる時代錯誤者の目には、先進国であれば与野党満場一致で国会から追放されるであろう金議員の行動が、英雄的な行為のように見えたのかもしれない。

 FTAにはチャンスとリスクの双方が伴う。しかし、韓国が常にFTAに積極的なのは、それが韓国経済にとって活動の舞台を少しでも広げるものと考えているからだ。李代表と統合進歩党がこの考え方に反対するのは自由だ。しかし催涙弾によるテロ行為を、安重根や尹奉吉と同じ救国活動に例えることは、国民をあまりにもばかにしている。統合進歩党はこの恥知らずな行動を直ちに取りやめなければならない。

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